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[11]アカサギ社長の誕生

現金を借りてからの男は、私に疑いを抱かせない為になのか今までよりも更に頻繁に連絡を取ってくるようになった。特に会社の手続きのことについてはこと細かく報告してきたのだ。私は、あまり長電話というものは好きではない。それでも男にお金を貸してからというもの本当に返ってくるのかという心配があったので、男からの電話には必ず反応した。

「今日、司法書士の先生のところへ行って打ち合わせをしてきた。」
「今日、書類を揃えて司法書士の先生のところへ行ってきた。順調に進んでいる。」
「今日、司法書士の先生のところへ行って殆どの手続きが終わった。あと少しで落ち着くから。もう少し待っていろ。落ち着いたら、先日借りた金を返すためにそっちに行くから。」
というような内容だ。これに男自身の近況報告も加わる。

手続きに関する最後の報告があってから数週間、男は本当にお金を持ってやってきた。「ありがとう夢乃。助かったよ。」と言ってお金を返してきた男は、お金と同時に「登記簿謄本と印鑑証明」まで私に見せたのだ。

その登記簿謄本の代表取締役欄には、男の名前がしっかりと記されていた。登記簿謄本に記載された日、遂に男は名実とも「社長」となったのである。

男が私に「登記簿謄本と印鑑証明」を見せたのは何故か。それは、最後の最後までお金を差し出すことを渋っていた私に、「借りたお金は本当にこの手続きの為に使用した。」という証を見せることで自分を着実に信用させる為である。加えて男は「自分が人を裏切るような事をする人間ではない。」と私にアピールしたのだ。本当に抜かりの無い男だ。

そして男は、社長という肩書きを思う存分利用して私をさらに陥れていくこととなる・・・

早乙女夢乃
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