[04]花嫁の発作・発覚のとき(1)

ご家族がアルコール依存症では?と疑うとか、気づくきっかけは色々ですけれど、相沢さんという方は、結婚式の夜に新婦が発作を起こしたというのです。

都内のホテルで式を挙げ、その夜はそのまま一泊。翌日、新婚旅行に出立という予定だったのですが。「びっくりしたよ。風呂から出てきたら、ベッドの横に仰向けにひっくり返っててさ、口から血を垂らしてるの。一瞬、舌を噛んで自殺?とか、思っちゃいましたよ」と言うのです。しかし、「痙攣してるからさ、話に聞く『てんかん』?とも思っちゃったり」とにかくフロントに電話したのだそうです。

これは、アルコール性てんかん発作で、禁断症状(離脱症)のひとつなのでした。病院で注射と点滴を受け、症状はおさまったのですが、おさまらないのは相沢氏です。

知らせを受け、病院に馳せ参じた花嫁の母親から、はじめて、花嫁が以前に、アルコール依存症と過食症の合併症(クロス・アディクション)で入院したことがあると、聞かされたのですから。

「じょうだんじゃないよ、キズモノよこしやがって、って腹が立ってさ。でも、向こうさんは、ちゃんと治療したから、治ったと思っていたの一点張り」

母親の言を信じるならば、マリッジブルーというのでしょうか、結婚に対する不安が引き金になって、スリップ(再び飲酒を開始すること)をしてしまった、ということでしょうか。そして、式の当日にはさすがに飲むわけにはいかず、禁断症状が出てしまったのだと思います。でも、親子共に隠していたには違いありません。スリップの危険性は、医者からたっぷり聞かされていたはずですから。

「離婚は考えなかったの?」と聞いてみたところ、「それは考えたよ。でもね、式挙げちゃってるし、ねえ」会社の人や親戚友人の手前もありますよね、成田以前の式場離婚なんて。「それに、キズモノにしちゃってたんだ、俺」つまり、『婚前交渉』(今は、死語だろうけど)があったわけですね。

20年ほど前には、男は責任をとって結婚せねばならなかったんです。「まあ、なんというか未練もあったんだろうねぇ」頭をかきかき、告白する相沢氏でした。女の魔力に『BEWITCHED』(たぶらかされちゃった)ゆえに、彼の苦悩が始まったわけです。

「でもまあ、披露宴の最中とか、新婚旅行中に出なかった(発症しなかった)のが、不幸中の幸いだったけどね」氏は悟ったのか、あきらめたのか、最後にそうつぶやきました。私は、不幸中の幸いといえば、もし、初夜の儀式の最中に発作が出ていたら、抜けなくなったのでは?といった不謹慎なことは考えなかったです。ホント。

甘木有忠

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