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[07]典型・発覚のとき(4)

家事がおろそかになる事から、奥さんの飲酒が問題になるというケースが多いようです。なんとなく、家の中が乱雑になってくる。洗濯もなまけはじめると、旦那が気づきはじめます。「おーい、新しいワイシャツどこだ?」「あら、クリーニングからとってくるの、忘れたわ。今日はもう一度、これ着てって」と、昨日のワイシャツを出してきたり。以前は自宅で洗濯し、アイロンをかけていた奥さんだったのに。

ご飯を作らなくなってくるようになると、もういけません。家に帰って来たら、店屋物がとってあるようでは、連続飲酒の状況です。今までは、飲酒が旦那に分からないように、ある程度で止めて、酔いを醒まし、なんとか家事をこなしていたのに、それが出来なくなっているのですね。

まあ、大体はここで、旦那が手を上げてしまうんです。「殴られて顔が腫れ上がってるから、ろくに水も飲めないんだ。それで病人が使う『吸い飲み』ね、あれに酒を入れて飲んでるんだから」頭にきて、また、奥さんを殴っちゃう。「バカヤロー、なにやってんだ、離婚するぞ」何度も繰り返すうちに、さすがに異常性に気づき、強引に精神科に引っ張っていった小田氏でした。そして奥さんが、『飲みたくて飲んでいるのではなく、飲まずにはいられない病気』だと、知らされるのです。

民謡『会津磐梯山』で『朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上つぶした』と歌われる小原庄助さんは、実は低血圧だったのではないかと言われていますが、真偽はともかく、小田氏の奥さんは朝が苦手だったんです。でも、朝ごはんを作らなければいけません。そこで、起き抜けにお酒を一口飲んで、元気を出していたんですね。目は覚めるし、特に冬などは体が暖かくなるしで。

栄養ドリンクには、たいていアルコールが入っていますが、少量のアルコールには覚醒作用があるから、即効で元気になれるんです。

そのうち、朝の戦争が終わって一息ついて、さて、洗濯をするか。で、グビ。次は掃除しなきゃで、キュー。そして、午後のひとときに、たしなむようになるともう、依存症は目の前だったんですね。

次回はつれあいの、美佐子の『発覚のとき』のお話をいたします。

甘木有忠


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