2008年11月アーカイブ

[10]身体は道具

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私たちは、日頃当たり前にしていることには注意を払わずに生活しています。朝日が昇ること、夕方日が沈むこと、時間が過ぎること、歩くこと、座ること、当たり前と思っていることに大切なことがあります。

生まれてから死ぬまで、私たちは自分の体を使って生活しなければなりません。しかし、それだけの意識を持って生活している人はあまり多くはありません。では、自分の身体を自分が使う道具として考えてみてはいかがでしょう。出来るだけ使いやすく、便利に使いたいと思うでしょう。これまでのエキササイズは、自分の身体をより自由に便利に使うためのエキササイズです。こんな事が出来るから凄いとか、出来ないからダメだと言うのではなく、自分の身体を使いこなして貰いたいのです。

機能満載の携帯電話を便利に使ってはいますが、機能全てを自由に使いこなしている人は少ないでしょう。それと同じです。身体操作の方法の練習だと考えて貰えばよいのかもしれません。

歳を取ると体の機能は段々と衰えていきますが、巧く使えば使うほど身体の操作法は巧くなっていきます。ただ、その操作法を知らないだけなのです。箱を開けてみて、自分の身体が入っています。でも、使用マニュアルはありません。赤ちゃんの頃から、自分なりの方法で自分の身体の使い方を研究して成長してきました。さて、今までの使い方で、いつまで使えるのでしょうか?皆、死ぬまで元気で生きていたいと思っているのに、そのままの使い方でいいのですか?歳を取って足が悪くなって、まともに歩けなくなる人もいます。生活に困るくらい手が使えなくなる人もいます。歳だから仕方がないのでしょうか?

いいえ!身体はちゃんと使えば、死ぬ直前まで機能すると思います。一人一人が自分の体を使う「匠」なのですから。職人は50、60洟垂れ小僧です。円熟の匠になりたいと思いませんか。

その身体操作法の秘密が、古武道の中に隠されていると考えています。無駄なく、合理的に誰にでもできる方法です。ただ意識して生活の中で、その動きを練習すればよいのです。ある程度その感覚を掴むまでには、時間はかかるかもしれませんが、自分の身体なのですから、いつでも練習できるはずです。

末端の力を使うのではなく、中心からの力を末端につなげて動く方法を少しずつ伝えていきます。動きは力になり自分の身体の外へ出て働きます。その力が正しいかどうかを判断できるのは、それを勉強している人にしか分かりません。そのために、他の人に力を掛けて貰い、その力を排除できるかどうかで判断して貰う方法で進んでいます。

どうか、自分の身体の操作法、掴んでいってみて下さい。

岸 元(きしはじめ)

[09]運動の出来る人と出来ない人

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この違いはどこから来るのでしょう?子供の頃からの身体の使い方です。どのように使えば、運動が出来るのでしょうか?それは、身体の中心を動かして手や足が連動して動かせる人が出来る人になるのです。子供の頃にこんな事を意識してやっている人はほとんどいないでしょう。しかし、遊びの中で自然に拾得している子供がいるのです。あの子には素質がある。走る、跳ぶ、投げる、何でもやってのける子供です。

出来ない子は、身体と手足がバラバラに動いてしまうのです。つまり、走ると足の力だけを使います。投げると肩と腕の力を使います。跳ぶと足の力を主に使ってしまいます。まるで私の話になっていまいますが。

前回の話しは身体の軸の話しにしてありますが、実は体幹の中心の力を手の動きや足の動きに連動させて動く体の使い方なのです。武道の根底の動きです。身体の小さな力のない人が、大きな人を投げ飛ばす動きになるのです。勿論、基礎的な運動能力にも関係します。長く走る、速く走る、遠くへボールを投げる、高く跳ぶ、遠くへ跳ぶ、全ての動きの基礎になる身体の使い方になります。

では、3本の軸を使って次のエキササイズに行きましょう。仙骨を自由に使う練習です。まずは中心軸でやってみます。図で表せば楽なことですが、ここでは文章で表現しますので、仙骨の上方向を12時、下を6時にしましょう。仰臥位(仰向け)に寝て、両足は軽く膝を曲げた状態にします。絶対に足の力を使わないで下さいね。ヘソの位置を屈曲させて12時だけを床に付けます。次に一杯に反らせて6時だけを床に付けるようにします。12時、6時、12時、6時と連続して動かして下さい。

それでは、左右の股関節の軸を使いましょう。中心軸は12時と6時の中間です。ここでは、右を3時、左を9時にしましょう。右股関節の軸を下に付けて、次は左股関節の軸を下に付けて。これで3時と9時を交互に床に付けるように連続して動かしてみて下さい。ここまで来ると、さらに12時6時方向の縦軸と3時9時方向の横軸との斜め軸まで動かしてみましょう。

1時半と7時半の軸は、12時6時の縦軸を最大屈曲よりも少し加減して、右股関節の軸を下に付けます。これが、1時半です。7時半は、縦軸を最大伸展より少し加減して左股関節軸を下に付けます。4時半と10時半の軸はこれを参考に考えてみて下さい。さて、これで8方向動かせるようになりました。では、12時から始めて、1時、2時、3時、・・・・・、10時、11時12時へと時計回りに床に付けてください。ゆっくりと注意して綺麗な円運動になるように。反時計回りもやってみて下さい。

岸 元(きしはじめ)

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[08]身体の軸(2)

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前回のできましたか?足を開いて伸ばしたままで、中心まで閉じられましたか?
では床に座って、今回は膝を軽く曲げてのエキササイズです。お尻は絶対に床から上げないように注意して下さい。右の股関節を中心軸にペタッと付けるようにしてみて下さい。右の膝は左に倒れます。そこで、前回と同じように他の人にこの膝が倒れないように手で持っていて貰います。さあ、この抵抗に足の力で対抗しようとは思わないで、何もないように、あくまで右の股関節を中心軸にくっつける感覚で動かしてみて下さい。膝を押さえている人を倒せましたか?出来れば合格です。

ずっと前に、柔軟な発想、と言う話しをしましたが、憶えてらっしゃいますか?今回のエキササイズは、座ってやりました。それでは立ってやってみましょう。どうなるのでしょう。座ってやると、身体が固定されて足を動かすことになります。立つと床に着いている足が固定されて、身体が動くことになります。手、足を動かす動作には慣れていますが、同じ筋肉を使って手や足を固定して、身体を動かすのには慣れていません。まずは、イメージを作って下さい。

両足を肩幅に開いて立って下さい。座位では、右の股関節を中心軸に合わせたのですが、立位では中心軸が右の股関節の軸と重なるように動きます。右の大腰筋を緊張させるのはどちらも同じです。その時に体幹は右が凸になるように動くはずです。軸の移動と体幹、さらに腕へと連動させて動いてみましょう。この時に右の肩が同時に上がります。肩が上がるときに腕を前から上に上げましょう。動きはゆっくりの方が良いです。連動して動く感覚を体に覚え込ませて下さい。左も同じようにやって下さい。

右股関節を中心軸に寄せたときに、左の肩は下がりますね。では、左の腕は下に降ろす方向に力が向きます。両手を前に伸ばしている時に、右股関節を中心軸に寄せると右手は上に、左手は下に力が働きます。他の人に両手首を持って貰い、そこの位置から動かないようにして貰います。あなたは、右股関節の軸に中心軸を寄せて下さい。さて、どうなったでしょう?

それでは、膝を軽く曲げて立って下さい。座っているときは右股関節の軸を中心軸に合わせるように、でしたが、今度は中心軸が右股関節に近づきます。身体は右に回旋します。では、他の人に肩を押さえて回旋できないようにして貰いましょう。右股関節の軸に中心軸を重ねて下さい。身体の他の場所には力を入れないで!抵抗を押しのけて身体を回旋できましたか?

岸 元(きしはじめ)

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[07]身体の軸

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ここまでの話しを簡単にまとめてみましょう。

身体の癖は、赤ちゃんの時から出来てきています。
その癖を、直立するために何度も補正を繰り返して行きますが、補正してバランスが悪くなり筋肉が耐えられなくなった時に痛みの症状として現れます。また、姿勢を維持するのに、背部の筋肉で支えていると癖が強くなっていきます。

癖を弱くするには、「大腰筋」を使うことです。そこで、大腰筋の使い方の練習をしてきました。自分のイメージは作れましたか?そして、日常でちゃんと大腰筋を使えるようになってきましたか?この姿勢は、次のステップに行く前にどうしても必要なことなのです。

次のテーマは、身体の軸です。日常生活で自分の軸を意識して生活している人は、まずいないと思います。ですから、自分に軸があることさえ分からないでしょう。それが、人の身体では何処にあって、どのように使えるかです。

武道では3本の軸を使います。右側股関節の軸、中央の軸、そして左側股関節の軸です。ここで言う股関節の位置ですが、足の外側ではなく内側の中央から3cm位外側にあると意識して下さい。

人の歩く後ろ姿をじっくり観察してみて下さい。ほとんどの人は、この右側股関節、左側股関節の軸よりも外側に自分の重さをかけて歩いています。身体を捻って後ろの足で蹴って移動しているからです。大腿骨の形は、股関節の部分で60度内側に折れ曲がっています。その折れ曲がっている部分の外側に重さをかけているのです。身体を左右に揺らし、お尻を左右に振って歩いている状態です。これでは、自分の軸なんて全く感じられないでしょう。

この3本の軸を使うことで何が変わるかというと、簡単に言うと無駄な動きがなくなり、効率的に身体の力が出せる状態になります。例えば、長時間の歩行とか、階段を上るとか、重いものを持ち上げるとかです。手、足の力が3~5倍強くなると考えて貰ってもいいでしょう。強くなれば、同じ仕事をしても疲れずに動けるようになるのです。

では、3本の軸を意識して使っていくエキササイズの開始です。

まず足を軽く開いて、伸ばして座って下さい。勿論大腰筋を使いますから、両方の足を持ち上げるような意識です。次に、右の足を伸ばしたまま中央に寄せます。この時に分かりやすいように、他の人に足が閉じないように軽く力をいれて、足首を持って貰って下さい。はい!中央に寄せて下さい。抵抗されても中央に持っていけましたか?この時、右の股関節内側を中心軸に重ねるように意識してみて下さい。出来たら、反対の足もやって下さい。

岸 元(きしはじめ)

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