2008年12月アーカイブ

[15]姿勢の仕組み

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人は実に微妙な姿勢制御をして生活しています。私が最近体験したことをお話しします。

重量物が倒れないように右手で上に持ち上げるように支えながら、左手で下に落ちたものを拾い上げようとしたときです。右の第7肋骨頭に違和感がありました。私の癖姿勢は、左回旋していているので、右足に重さをかけ、胸郭(肋骨の籠)は後ろから見ると、右が上に上がり、左が下がっています。前述の姿勢では、私の癖をさらに強めるように力が掛かりました。第7肋骨頭は、頭方に上げられていました。痛みはテーピングをするまで、1週間続きました。

その時の私の姿勢は、右肩を極端に下げ、右足にかかる重さはさらに重くなって、足底の重さのかかる箇所は外側、踵部分になりました。痛みから少しでも逃れる姿勢を自然にとっていました。その結果、右ふくらはぎの緊張、右側腰部の痛み、右肩のこりを感じるようになりました。

第7肋骨頭を下方に下げるようにテーピングしてから4日後、両肩のバランスは元に戻り、足の緊張も腰痛も肩の緊張もなくなりました。

その間、右腕をどのように使っていたかというと、身体の左側回旋の癖をさらに強くしていたので、右肩を前に出し肘を体側よりも後方に引くようにして物を持ち上げていました。この動きでさらに左側回旋を強くしていったと思います。

私たちは、これと同じ様なことを繰り返しながら日常生活を送っています。何かのきっかけで元々の自分の癖を強くして、それをカバーするためにさらに姿勢を崩していっています。取りあえず二本足で立つ、あるいは痛みから逃げるために作る姿勢を補正と言います。この補正を繰り返しながら年齢を重ねているのです。ただ、補正はいつまでも続くのではありません。限界があります。その限界が来たら、動けないような痛みで身体が訴えるのです。これ以上は補正が効かないよ、と。

直立して右肩が下がっている人に腰痛を起こさせたいのであれば、右腕を肩の高さに上げて親指を下に向けて貰います。その腕を下に向けて誰かに力を掛けてもらい、肩の高さに腕を維持して貰います。限界まで力を掛けてやると、数週間後には立派に腰痛を起こします。治したいのであれば、左腕で上記のことをやり、さらに右腕を上に上げ、手のひらが上を向くようにして小指をさらに上に向けます。腕全体を前から下に降ろすように力を入れ、誰かに降ろす力に抵抗して貰います。

自分の身体にどのような癖があり、どんな使い方をするとさらに姿勢がくずれていくのかを知っていなければなりません。日常の腕の使い方で、自分の癖をさらに強めていくのを理解してもらえましたか?

岸 元(きしはじめ)

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[08]身体の軸(2)

[14]固定して動く(手)

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腕を身体から放して動かすときには、肩周辺の筋肉だけを使うようになります。これでは、どんどん身体の癖が強くなっていきます。

今回は腕を動かしてみます。前回、肩関節を固定すると言う表現がありました。分かりにくければ、胸と腕を一体にすると言う表現ではどうでしょう。つまり、腕だけを動かすのではなく、身体全体を使って腕に力を伝えて動かす方法です。

初期動作は足を動かすときと同じです。例えば、右腕を上げているとしましょう。右腕を下に降ろします。右の股関節軸に重さを乗せて、右腸骨と股関節を固定したまま右下肢全体を軽く前に上げるような意識で動くと右腕は身体と一体になって、自然に下におります。両腕を降ろすときには、両方の足に均等に重さを乗せて置いて、両下肢全体を前に軽く上げるように動くと、両腕は身体と一体になって自然に下に降ろせます。この動きは、腸骨の上のライン、へその位置になりますが、で身体を屈曲するときの動きです。へそのラインで身体を屈曲させると同時に腕を降ろす動作になります。

では、腕を上げる動きはどうでしょう。以前、右腕を上げるときには右股関節に重さを乗せて上げると言う方法をお話ししたことがあります。さらに強く上げる動きです。先ほどの動きに、さらに別の動きを加えます。右腕を上げるときに、右股関節に重さを乗せ、右下肢全体を軽く前に出すように動き、上体が軽く屈曲したら右腸骨を前に軽く出します。同時に右腕を上げてみて下さい。へそのラインで身体を伸展させながら腕を上げる動きになります。あるいは、素早く右下肢全体を前に出すような意識で、右股関節に重さを乗せたままで屈曲して下さい。それでも右腕を素早く上げることが出来ます。

腕を内側・外側に動かすときの動きを説明します。これは同じ動きになります。例えば、右腕を内側に動かすときと、左腕を外側に動かすときは同じ動きになります。右腕を肩の高さに上げて前に伸ばします。左股関節内側に重さを乗せて、左下肢全体を内側に軽く上げるように動きます。身体全体が左側に回旋します。胸と腕を固定していますから、右腕で内側に押すことになります。これと同じ動きで、左側の腕を前に伸ばしておくと、左腕で左側に押す動きになります。

腕を動かすときに肩周辺の筋肉に意識を集中するのではなく、腸骨に固定した下肢全体の動きに意識を集めて動いてみて下さい。これまでにない力を自分の外に出すことが出来ます。

岸 元(きしはじめ)

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[13]固定して動く(足)

[13]固定して動く(足)

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中心の力を末端に伝えるときや、体重移動するときに、非常に大切な事があります。それは、股関節の角度、肩関節の角度を変えないと言うことです。言い換えれば、右の足を動かすときには、右の股関節は固定されていなければなりません。あるいは、右腕を動かすときには、右の肩関節は固定していなければなりません。これが出来なければ、体幹の動きを手や足に伝えることが出来ないのです。

???ですか。では、足を使うときの例を挙げてみましょう。足を前に伸ばして座り、両手を後ろについた姿勢をとりましょう。それから、両足の膝を90度くらい曲げて横に開いてみて下さい。片方の膝に誰か全体重をかけて乗って貰います。腹這いに乗って貰う方がいいでしょう。右の足に乗って貰いましょう。

では、開いた右足を左に倒してみて下さい。この時に、足を動かすのではなく、右の腸骨を左に倒す感覚で動かし始めてみて下さい。それからそのままの感覚で、膝を左に持っていきます。全体重を乗せられているにも関わらす、重さを感じずに乗った人を左に運べたでしょう!!では、股関節を折り曲げて動かすようにして、同じように動かしてみて下さい。その人の全体重を足に感じるはずです。絶対に持ち上がりません。

逆に、右足を90度に曲げたまま左に倒しておきます。そこに同じようにして体重をかけて乗って貰います。右外側に倒します。同じ感覚で、右腸骨を右に開くように動かし始めて下さい。そのままの感覚で膝を右外側に倒します。ちゃんと右側に運べましたか?

さて、足を左右に動かしました。では、前後に動かしてみましょう。両手を後ろについて座ります。足を軽く開いて、膝を90度に曲げておきます。ちゃんと出来るようになれば、伸ばしたままでも出来るようになりますが、まずは曲げてやりましょう。右膝に体重をかけて胸で押さえて貰います。足だけの力で上げようとしても上がりません。先ほど話ししたように、右の腸骨を内側に軽く持ってくるようにしながら、仙骨を12時の位置にして下さい。腹筋の外側に力が入ると仙骨を12時の位置には持って来られませんよ。注意して下さい。持ち上がりましたか?

今度は後ろです。腹臥位で寝て下さい。やはり膝は90度曲げておきましょう。右足の裏に体重をかけて乗って貰って下さい。右腸骨を内側に倒すようにして仙骨を6時の位置にします。可動範囲が少ないので少しでも上がればよいです。

股関節を固定して動かすという感覚がつかめてきましたか?これが出来れば、次は手を動かす事が出来ます。これはまた次週と言うことで・・・・。

岸 元(きしはじめ)

[12]体重の移動

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運動するときの体幹の動きは、屈曲・伸展・回旋の3通りで中心の力を末端に伝えて動くことが出来ます。では、運動するときによく言われる「体重移動」はどのようになっているのでしょう。

前回ゴルフスウィングで紹介した動きになるのですが、一番体重移動を繰り返し使う運動は歩行です。体重移動と聞いて、どんなイメージがわき上がりますか?足を肩幅に開いて立って、右足から左足、左足から右足への体重移動をしてみて下さい。通常ですと、まず上半身を右から左へ、あるいは左から右へ傾けて足にかかる重さを移動していると思います。確かに足にかかる重さの移動は出来ます。その方法で早く移動できますか?やってみてください。

例えば、右から左へ上半身を移動させるためには、右足で地面を蹴って上半身を左へ移動させます。では、逆のサイドへ直ぐに移動させて、またその逆に移動させて・・・。早く動けましたか?では、今やった体重移動で足のどこに重さがかかっていったかを感じてみて下さい。おそらく左右の股関節の外側、あるいは足底の外側に自分の重さを感じているはずです。バランスは極端に悪くなりますし、決して早くは動けなかったと思います。

大腰筋が使える姿勢を作って下さい。肩幅に足を開いて、右股関節を内側に回旋させてみて下さい。上半身は右側に倒れることなく、右側に少しだけ移動しました。これが体重移動なのです。では、左股関節を内側に回旋させて。上半身は直ぐに左に少しだけ移動します。自分の重さはどこに感じますか?股関節の内側、足底の内側に自分の重さを感じるはずです。体重を移動させた反対の足を上げてみて下さい。大腰筋を使えば、十分に片足で立てるほど体重を移動できているでしょう。

この要領で歩いてみましょう。右股関節を内側に軽く回旋させると左足を前に出すことが出来ます。逆に左股関節を内側に回旋させれば右足を出すことが出来ます。この連続です。初めは、かなり意識して自分の重さを前に移動させていって下さい。歩くと言うことは、自分の重さを前に移動させることです。慣れてくれば、股関節を回旋する意識がなくても、自分の重さを股関節の内側にかけると言う感覚だけで、体重移動が出来るようになります。

まっすぐに立つと言うことは、中心軸が両方の股関節の真ん中にあると言うことです。両方の股関節を軽く内側へ回旋してみて下さい。ただ単に上半身の重さを足で支えていると言うよりも、自分の身体がしっかりと地面を掴んでいるという感覚で立てるはずです。

岸 元(きしはじめ)

[11]中心の力を末端へ

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身体の中心の力って、何処にあると思いますか?これまで練習してきた大腰筋です。では、どのように使えば中心の力を末端に伝達できるのでしょうか?

まずは、逆に普段使っている力を考えてみましょう。普段扱うものの中で一番重いのが自分自身の身体です。重い自分の身体を正座した状態から立ち上がる状態まで持ち上げてみましょう。最初にどちらかの足を持ち上げて膝を立てます。その膝に自分の全体重をかけて、大腿四頭筋(太股の前側の筋肉群)を目一杯収縮させて身体を持ち上げていきます。膝周辺の筋肉の悲鳴が聞こえてきそうだと思いませんか。

では、中心からの力を末端に伝えて立ってみましょう。仙骨を12時の位置にします。仙骨を一気に6時の位置にして、自分の胸を上方向に向けて投げ出すように動いてみて下さい。別の言い方をすると、下腹を一気に前に突き出して自分の胸を上に放り投げる感覚です。簡単に両膝で立てる位置まで持ち上がりました。そのままの動きの流れで片膝を立てて、上に向かって身体全体を反らすように引っ張り上げます。膝と太股の前に負担がかからないはずです。この時には、中殿筋(お尻の筋肉)と大腿二頭筋(太股の後部)が働きます。

自分の体の重さを上から下へ移動させるときにも、膝に負担をかけています。立った状態から椅子に腰掛けてみます。ゆっくり膝を曲げるようにすると、段々膝に重さがかかるのが分かるでしょう。では、仙骨を12時から6時の位置に、へその位置でくの字に曲げるように一気に動いて下さい。フワッと膝に重さを感じることなく座れましたか?

このように、動きの中心の力はお腹の中に隠されています。立つ、座るは、前後の動かし方でした。では、左右で使うとどうなるのでしょう。ここでは、ゴルフのスウィングを参考にしてみましょう。左右と言うことは、身体の回旋になります。右利きの人でしたら、テイクバックを右に上げます。これを腕、肩の力を付かずに上げてみましょう。

右股関節の軸を縦軸に折り曲げるように動きます。以前両手を後ろについて、両膝を軽く曲げて座り、大腰筋の力だけで膝を内側に倒す動きをしたことがあります。他の人に倒れないように膝を持っていて貰っていても、その相手を倒すくらいの力が出たと思います。この要領です。あの時は上半身を固定して、下肢を動かしました。今度は、下肢を固定していますから、上半身が動くことになります。上半身を捻ることなく身体を右側に向けられます。この時には全体重が右足の内側にかかります。決して外側ではありません。

では、左側股関節を縦軸で折り畳んで下さい。身体は一気に左に回旋します。上半身には全く緊張がありませんから、スムーズにフォロースルーできるはずです。

岸 元(きしはじめ)

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[10]身体は道具

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創刊:2007.09.24


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