[27]意識と身体(2)

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先日の身体操法の勉強会でおもしろい体験をしました。手首を握られ、「動いてみて」。全く動けません。次に、「もう一度動いて」。今度は、身体は動けましたが、腕を動かすことが出来ませんでした。相手は全く動くことなく、意識を変えるだけで私の身体全体を動けなくしたり、腕だけを動けなくしたりするのです。

相手の中心軸に意識を向けて、その動きを手の筋肉で感じると、相手の全ての動きをとらえることが出来ます。相手の肩に意識を向けると、腕全体の動きをとらえられ、相手の腕を制御できます。ただ、腕の動きに意識を向けただけだと、相手の中心からの動きが全く分からないので、投げられてしまいます。

これを自分の身体に置き換えてみましょう。私たちは日常生活で自分の身体に意識を向けていることがあるでしょうか?どこかに痛みを感じるとか、緊張感を感じるときであればそこに意識が行きますが、痛みや緊張感を感じていないときには、身体のどこにも意識を向けていないでしょう。では、どうやって自分の姿勢を制御しているのでしょう。「良い姿勢をして下さい。」と指示すると、ほとんどの人の意識は背中に行きます。背中の筋肉を緊張させると良い姿勢だと思いこんでいるからです。背中を緊張させると、腰部の筋肉群が一番働きやすいですから、腰部と仙骨を伸展しすぎてしまいます。腰痛を起こしやすい状態になります。

PCを使っているときには、どこに意識が向くのでしょう。目です。文字が見えやすい、あるいは、モニター上の何かの動きをとらえやすい姿勢をとってしまいます。目に意識がむくと、顔を前に出し背中を丸めてしまいます。その結果、自分の腕を前に上げるときに、肩の筋肉だけを使うようになりますから、肩の緊張感が出ます。頚部を過伸展させてしまうので、頚部の緊張も出るようになります。目が疲れやすくなります。

では、どこに意識を向ければよいのでしょう。それは、自分の中心軸です。中心軸でも腰椎4番です。そこに意識を向けると、ちゃんと大腰筋全体が働いてくれるようになります。下腹部をへこませて、胸を上に上げて頭頂部を上から吊したように、まっすぐ上に伸ばす、と言う姿勢を一つ一つ作り上げなくても、勝手にその姿勢になります。

オリンピック選手にイメージトレーニングをさせると、実際に走っているときと同じように、筋肉が動くそうです。それは、自分の体を使って実際に何度も動いてきたから、イメージだけで反応してしまうからなのでしょう。私たちの日常生活も同じです。これまでお話ししてきた動きを、実際に外部への力を出すように練習してきていれば、意識だけで自分の身体を正しく制御できるようになります。

岸 元(きしはじめ)

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