2009年5月アーカイブ

[34]身体が教えてくれること

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ここまで練習を続けてきた人なら、自分の中心軸をはっきり意識できると思います。背中に力を入れていたり、お腹を突き出している姿勢では無理ですよ。

では、長い棒を両手で持ってみて下さい。バイクのハンドルを持つように、です。その中心を誰かに持ってもらいます。胸と腕の角度を全く変えずに、自分の中心軸で回転してみて下さい。ちゃんと相手を動かせましたか?あえて腕の力を使うとすれば、角度を変えないために使います。相手を横に動かす為に使ってはいけません。

今度は、相手に持ってもらったまま上に上げてみて下さい。肘の角度を変えないようにして、あくまで肩関節を中心点として上げてみて下さい。最初にへその下から自分の胸を上げるような意識で動き、胸骨が上に動き始めたら棒を上げて下さい。抵抗を受けずに上がりましたか?

次は、下げてみて下さい。へその下から自分の胸骨をしたに下げるように動き、棒を下げます。どうですか?

これらの動きは、中心からの力を腕に伝えて動かす動きです。布団の上げ下ろし、洗濯物を干すとき、取り込むとき、とにかく両手の作業の時には欠かせない動きになります。

面白いもので、何も意識しないで物を持ち上げようとすると、必ず意識は物との接点に行ってしまいます。つまり、自分の手です。重い自分の手を上に上げるとき、肩を引き上げ、肘をできるだけ曲げて上に上げようとします。横に動かそうとすると、動かしたい方向に自分の身体を動かしてから、その方向に腕を引いて動かそうとします。下に押すときには、肩と肘を上げて、手に自分の体重を乗せようとします。

これらの動きで一番大切なことは、自分の中心軸がまっすぐに立っているかどうかです。手を動かそうとすれば、身体の中心軸を曲げてでも、無理な力を使ってしまいます。何度もお話ししてきましたが、これが身体の故障の元になります。自分の中心軸が自分の中にはっきり感じられるまで、何度も練習してみて下さい。そして、いつも自分の中心軸を意識しながら動く癖を付けて下さい。歩くときでも同じ事です。自分の中心軸が垂直に立っているのを意識しながら、すーっと歩いてみて下さい。

半年も続ければ、体がいろいろ教えてくれるようになります。以前にお話ししたかもしれませんが、高校生の頃から、ジーンズの左の膝が必ず破れていました。35歳の時に右側の膝に痛みが出てきて10年間続いたのですが、思い起こせば、すでに右側膝関節の軸がずれていたから、膝を一杯に曲げたくなかったのです。だから、片膝を付くときには必ず左側膝をついていました。その繰り返しで左側の膝だけが必ず破れてしまったのだと、最近になって気づきました。

岸 元(きしはじめ)

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[33]イメージを広げる

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私たちは、子供の頃から指の使い方、歩き方、立ち方など、一つずつ自分で練習を重ねながら拾得してきています。机の上に置いてあるコップを手で掴み、口にもっていき中に入っているコーヒーを飲む。この動作も、一つ一つ考えなくても総合的に動きます。錐体外路系の運動機能と呼んでいます。これは繰り返しの練習の成果なのです。つまり、明確なイメージが出来上がっている場合にできると考えてみましょう。

では、腕相撲をします。ここで、あなたは相手のどこにどのように力を加えようとイメージしていますか?相手の手の甲が台に付けば、あなたの勝ちです。逆に付けられてしまえば、あなたの負けです。さて、考えてみて下さい。勝ちたいですか?それとも、負けたくないですか?

勝ちたいときと負けたくないときでは、身体の使い方が全く違います。勝ちたいときには、自分の腕を内側に強く倒そうと意識して、そのように動かそうとします。負けたくないときは、その場で動かさないような身体の使い方をします。でも、両方とも相手の力が強ければ負けてしまいます。体の大きい、力の強い人が一番強いと言うことになりますよね。それでは、おもしろくはありません。

自分の力だけで相手に勝とうと思わずに、相手の手に触れたとき、相手の中に意識を入れて相手の中心をつかんで下さい。あるいは、相手の中心(へその下)を取り囲んだ大きな円をイメージで作って下さい。さて、相手の触っている手を動かすのではなく、相手の中心を動かすように腕を倒して下さい。肩にも、二の腕にも力を入れないで相手を倒せましたか?

明確なイメージができていれば、例え相手が両手でやってきても、立ち上がって横方向から押してきても、座ったままの姿勢が崩れませんし、自分の腕を倒すことができます。

横に足を開いてもらい、踏ん張って動かないように立ってもらいます。肩を押して相手を動かす方法は何度も話ししましたが、ここでは肩に触れたときに、相手の中に入り中心を取りましょう。その中心を動かすイメージで動いても、相手をすーっと動かせます。

両手首をつかんでもらい、その時に相手の中心を取るか、相手の中心を取り囲む円を作ります。そのまま身体を回転させて下さい。相手は自分を中心とした円上を動かされてしまいます。

明確なイメージができると、自分の中心軸が全くぶれないようです。おまけに脱力が簡単にできるようになります。これは、人対人でなくても、ものでも同じです。コップを持ち上げるとき、思い物を持ち上げるとき、自分の身体は同じように脱力し、中心から動くようになります。もっと大きなもの、地球とつながってみましょう!

岸 元(きしはじめ)

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[27]意識と身体(2)

[32]イメージと動き(2)

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前回は、手や足の指先を「無限の彼方」に届かすイメージを作りました。今回は、自分の身体の中心から動くイメージを作ってみましょう。意識するのは自分の丹田です。丹田の位置を膨らませるのではなく、引っ込ませるのです。

WBCでイチローが打てなかったときの動きと、決勝戦で2塁打を打ったときの動きに違いがあったのに気づいた方は多かったでしょう。一番大きな違いは、左足を蹴って動いたか、右足で引いて動いたかという点でした。

左足で蹴る動きは、腕で打ちに行くとそういう動きになります。どうしても打ちたかったのでしょう。そこを打ちたいイメージで動くと、腰を回転させてしまいます。腰を回転させるには、足で蹴るようになります。その結果回転だけでなく、右前に腰を押し出す動きも加わります。その後で肩を回し腕が動くので、身体を捻る動きが加わり、自分がとらえようと思ったタイミングを外してしまいます。

右足で引いた動きでは、右の軸が崩れません。右股関節の軸でスムーズに身体が回転します。身体に捻れがなくなるので、自分が思ったタイミングで腕の先が動きます。イチローはどんなイメージで動いているのでしょうね?

身体のどの部分を捕まれても、そこに意識を持っていってしまうとその力に自分の身体が反応してしまいます。その力に真反対に対抗する力しか出せなくなります。そんなときには、捕まれた所を捨ててしまいます。あくまで自分の身体の中心から動き、その力をそこに伝えるだけに集中します。あるいは、自分から手で人を掴むときにも手に意識を集中させるのでは、相手をコントロールできなくなります。中心からの力を波のように使い、手に伝えるとコントロールできます。

物を持ち上げるときに、ほとんどの人は腕を曲げて持ち上げようとします。身体を屈曲させたままです。物を掴んだら、後は手に掛かる重さを意識するのではなく、屈曲した自分の体を起こす動きに集中しなければなりません。そうすれば、腕の力を使わなくても物は持ち上がります。ただし、自分の体を起こす動きは正座して、お辞儀から元になおる動きです。お辞儀をしていて誰かに背中に乗って貰い、起きてみて下さい。決して背中にかかる重さに意識を集中させてはいけませんよ。

雑巾かけや窓拭きも同じです。拭くところに集中するのではなく、身体の中心から動いてみて下さい。身体全体が波のようにゆらゆら動きながら、その力が手の先に伝わり、肩の力を使わなくても床や窓は綺麗になるはずです。イメージは「中心から無限の彼方へ」です。

岸 元(きしはじめ)

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[31]イメージと動き

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以前、姿勢を作り上げる練習をするときには、そのイメージを作ることが大事ですとお話ししたことがあります。自分にあったイメージを作れば、その通りに身体が動くのです。今回は、その例を具体的にお話ししましょう。

物を押して動かしたいときに、あなたはどうイメージしますか?では、一人の人に足を横に出来るだけ開いて貰って立って貰います。その人の肩を横方向に押して動かしてみましょう。あなたが「肩を押す」イメージで押してもその人を動かすことは出来ないでしょう。では、その人を全く無視して「無限の彼方」を押してみて下さい。簡単にその人を動かせます。

押し方が変わるのです。「肩を押す」と身体を前に倒して、腕で押し、足で床を蹴る体勢になります。これは私たちが通常物を押す体勢ですね。では、「無限の彼方を押す」と?

身体は前に倒れ込まず、そこを押しても無駄ですから手にも足にも力が入りません。身体を前に進めようとします。もうお分かりですね。自分の重さを前に進めるやり方になります。大腰筋を使って、手にも足にも力を入れず、前にある足の股関節の軸に引っ張るやり方です。

では、手首を別の人に上から押さえて貰いましょう。捕まれた腕を上げるのに、普通ではさらに大きな力を使って上げようとイメージします。力と力のぶつかり合いです。これでは上げることは出来ません。無限の上に向けて指先を伸ばしてみて下さい。上がりましたか?

さらに大きな力を使おうとすると、肩の筋肉を使ってしまいます。肩から動かそうとします。しかし、無限の上に伸ばそうとすると肩の筋肉を使わずに、身体全体で動きます。自分の重さを上げる腕の方に移し、広背筋を使い肩胛骨を後ろに下げて腕全体を上げようと動くのです。

腕を下に降ろすときにも、横に動かすときにも、同じようなイメージを作って動かしてみて下さい。「無限の彼方」です。

足を上げるときでも、「足を上げる」イメージだと、上げる足の反対に体重を移して、何とか足を持ち上げようとします。「指先を上に」のイメージだと大腰筋を使う体勢になります。

突き、蹴りは、このイメージを使うと一々自分の身体をチェックしてその動作をしなくても、動きは軽いけれども威力のある動きになります。

日常生活で考えてみましょう。例えば、堅い餅を包丁で切ります。餅を切るイメージだと、肩を上げて上から押さえて切ろうと動きます。包丁を「無限の下に降ろす」イメージだと、肩を降ろして自分の重さを反対に乗せて、身体全体で包丁を降ろそうとします。

こんな些細な動きで、日常的に体のバランスを崩していっているのです。イメージで動きが変わりますから、自分で作ってみて下さい。

岸 元(きしはじめ)

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創刊:2007.09.24


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