[31]イメージと動き

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以前、姿勢を作り上げる練習をするときには、そのイメージを作ることが大事ですとお話ししたことがあります。自分にあったイメージを作れば、その通りに身体が動くのです。今回は、その例を具体的にお話ししましょう。

物を押して動かしたいときに、あなたはどうイメージしますか?では、一人の人に足を横に出来るだけ開いて貰って立って貰います。その人の肩を横方向に押して動かしてみましょう。あなたが「肩を押す」イメージで押してもその人を動かすことは出来ないでしょう。では、その人を全く無視して「無限の彼方」を押してみて下さい。簡単にその人を動かせます。

押し方が変わるのです。「肩を押す」と身体を前に倒して、腕で押し、足で床を蹴る体勢になります。これは私たちが通常物を押す体勢ですね。では、「無限の彼方を押す」と?

身体は前に倒れ込まず、そこを押しても無駄ですから手にも足にも力が入りません。身体を前に進めようとします。もうお分かりですね。自分の重さを前に進めるやり方になります。大腰筋を使って、手にも足にも力を入れず、前にある足の股関節の軸に引っ張るやり方です。

では、手首を別の人に上から押さえて貰いましょう。捕まれた腕を上げるのに、普通ではさらに大きな力を使って上げようとイメージします。力と力のぶつかり合いです。これでは上げることは出来ません。無限の上に向けて指先を伸ばしてみて下さい。上がりましたか?

さらに大きな力を使おうとすると、肩の筋肉を使ってしまいます。肩から動かそうとします。しかし、無限の上に伸ばそうとすると肩の筋肉を使わずに、身体全体で動きます。自分の重さを上げる腕の方に移し、広背筋を使い肩胛骨を後ろに下げて腕全体を上げようと動くのです。

腕を下に降ろすときにも、横に動かすときにも、同じようなイメージを作って動かしてみて下さい。「無限の彼方」です。

足を上げるときでも、「足を上げる」イメージだと、上げる足の反対に体重を移して、何とか足を持ち上げようとします。「指先を上に」のイメージだと大腰筋を使う体勢になります。

突き、蹴りは、このイメージを使うと一々自分の身体をチェックしてその動作をしなくても、動きは軽いけれども威力のある動きになります。

日常生活で考えてみましょう。例えば、堅い餅を包丁で切ります。餅を切るイメージだと、肩を上げて上から押さえて切ろうと動きます。包丁を「無限の下に降ろす」イメージだと、肩を降ろして自分の重さを反対に乗せて、身体全体で包丁を降ろそうとします。

こんな些細な動きで、日常的に体のバランスを崩していっているのです。イメージで動きが変わりますから、自分で作ってみて下さい。

岸 元(きしはじめ)

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