身体の癖: 2009年3月アーカイブ

[26]意識と身体

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一体、私たちは普段どのように動いているのでしょう。子供の頃から作り上げられた、動きの試行錯誤の結果とその結果でできた意識の中で行動しているはずです。自分の体のバランスが悪い事に気づいている人も何人かいます。しかし、ほとんどの人達が自分はまっすぐに立っていると思いこんでいます。そして、バランスが悪いことで起きてしまった自分自身の身体の痛みは、その部分が弱ったから起きたことだと考えています。だから、バランスが悪くて、その部分が自分の重さで疲れ切って生まれた痛みなのに、その部分をさらに鍛えようとします。

私の失敗例をお話しします。もう20年近く前のことです。腕相撲の手の組み方で、片手で相手を投げる練習をしていたときのことです。その頃は、まだ外側の筋肉で十分動けていましたから、今の身体の使い方とは全く違い、腕の力を使って倒そうという意識で動いていました。腕の力を使うのですから、うまくいくはずはありません。それでも、繰り返し何度も何度も、1時間くらい動いていたでしょう。

腕の力を使い右手で相手を自分の内側に動かそうとした場合、左側に身体をひねり、左側に身体を倒して右腕の力を内側に使おうとします。よほど腕力があれば別でしょうが、同じくらいの腕力で力比べをしている状態です。私の上腕二頭筋の短頭部(力瘤の内側)が極端に疲労して、1週間後には肘の痛みを発症しました。内側に前腕を捻ろうとも動いていましたから、いわゆるテニス肘の状態にもなっていました。テニス肘を治す調整を自分でしていましたが、いっこうに痛みは取れません。それどころか、肘の最大伸展と最大屈曲できない状態になりました。痛みは1年くらい続きました。痛みを感じなくなった今でも、肘をまっすぐに伸ばすことも一杯に曲げることもできません。この時に今の身体の使い方を知っていたなら、こんな事にはならなかったはずです。

つまり、身体のどの部分からどういう力を外に出したいか、と言う意識が子供の頃から試行錯誤して作り上げた動きだけの知識でしかないなら、それはとんでもない間違えだと言うことです。もっと別の知識があるなら、その意識は変えられるはずです。60代以上の人の中には、もう年を食っているのだから、そんなことは出来ない。と思いこんでいる人もいます。

しかし、意識を変えるのに年齢はほとんど関係ありません。それに使えば使うほど上手になるのですから。合気道のある先生が亡くなる間際に、「今が私の動きは一番充実している。」と言われたそうです。(言葉は少し違うかもしれません)その通りだと思います。いつでも自分が傷めた身体を癒すことが出来るはずです。

岸 元(きしはじめ)

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[25]姿勢の大切さ

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最近治療をしていて、改めて姿勢の大切さを思います。子供の頃から、「ちゃんとした姿勢できちんと座りなさい。」とか「背中を丸めてはいけません。」とかよく言われていました。皆さんも覚えがないですか?ところが、正しい姿勢と思いこんでいた姿勢、これが間違っていたらどうしようもありませんよね。

ここで患者さんの例を2つ紹介しましょう。一人目は、80代の女性です。膝の痛みが常時あり、杖を使ってないと歩行できないのです。家の中でもその状態ですから、お盆に物を乗せて運ぶなんてとんでもないことです。この方の姿勢は、腰部を極端に反らし、お腹を突き出している姿勢です。以前にもお話ししたことがありますが、お腹を突き出すと、当然股関節は外側に回旋します。いわゆるがに股状態です。両膝はそれぞれが外側に向いています。女性の場合、足の先を開かないように立つ事が多いですから、膝の向きと足先の向きが違う方向を向いてしまいます。

この姿勢で歩くと両側の膝は、常に内側から外側に向けて力を掛けることになります。大腿部は外旋し、下腿部は内旋している状態になります。膝の軸がずれているのですから、膝の内側にいつも大きな重さをかけることになります。内側半月板を損傷していくようになります。この方は、すでに半月板は機能しない状態になっているそうです。ところが、腰部の反りをなくすように、尻尾を下げてへその位置から胸を前に出すような姿勢をとって貰うだけで、両側の膝の痛みを感じなくなりました。

もう一人は、50代の男性です。股関節の激しい痛みでした。この方も「良い姿勢」は、身体全体を反らせたのがよい姿勢と思いこんでいました。野球で右の肩を壊し、上半身は右側が凸の状態です。当然、下肢への重さは右側が重くなります。右腸骨は仙骨に対して外側に回旋し、右股関節も外側に一杯に回旋している状態でした。歩き方は、膝を上げて歩くので当然股関節もかなり屈曲しなければならない動き方です。ほとんど固定されている股関節を無理に動かすわけですから、激しい痛みを発症したのです。勿論身体の調整も行いましたが、それだけではこの痛みは取れませんでした。

へそから下が、足だと思い歩いて下さい。股関節を屈曲させて歩くのではなく、膝を曲げずにへその位置を屈曲させるつもりで足を前に運ぶように。と何度か練習して貰い、これなら歩いても痛みがないと言うところまでできました。

間違った姿勢で困っている人は、かなりいるはずです。2週間、自分の身体と自分の姿勢に向き合ってみて下さい。そうすれば、1ヶ月後には身体の方から教えてくれるようになります。ほら!悪い癖が出てるから、痛みが出てきたでしょう。と。

岸 元(きしはじめ)

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