[001]医療経済学って何?

医療経済学というとなにやら難しい学問のように聞こえるかもしれません。実際日本でこの医療経済学が学問分野として確立されたのはほんの最近のことです。主要な大学でもこの医療経済学の講座を開設しているところはほとんどありません。従い経済学を学んだ人でも医療経済学で具体的にどんなことを勉強するのかわからない人が大半かもしれません。

医療経済学とは経済学の一部で、医療を取り巻く問題を経済学的に解析しようというものです。例えば、経済学には、「需要」、「供給」、「市場」という考えがありますが、医療経済学にももちろんあります。

例えば薬の価格。日本では政府が薬の価格を決めているので、市場価格が需要と供給によって単純に決まらないのですが、政府の規制のないアメリカでは薬の価格は需要と供給によって決まります。つまり良く効く新しいコンセプトの薬は効かない薬より需要が多いので高くなるわけです。医師の診療も同じです。日本では、保険診療では医師の診療に対して一定の報酬額が決められていますが、自由診療であれば腕の良い医師のもとに患者は集まり、その治療がよければ患者はより高い対価をすすんで払うでしょう。従って自由経済のもとでは高いけれど良い医療サービスが現れやすいのですが、逆を言えば医療費が高騰する原因になります。

アメリカを除く先進国では、ほとんどが日本と同じ国民皆保険制度を持っており、医療保険は多かれ少なかれ税金から拠出されています。誰だって良い治療を受けたいですが、すべての人が最高の医療サービスを受けたら国が運営する保険基金は破綻しますし、民間の医療保険会社だって破産するでしょう。限りある保険料をできるだけ公平に、効率よく使うには工夫が必要です。従って医療経済学では、市場経済よりもどちらかというと政府が医療を取り巻く環境をどう規制するかが重要になってきます。そしてより良い医療サービスを提供するにはどう病院を運営するか、一体いくらの報酬を医療従事者に払えば良いか、あるいは医薬品会社にはそのくらいの利益を認めればさらに良い薬を開発する意欲を失わず、かつ薬を安定供給できるか?ということを体系建てて研究する学問なのです。

医療経済学はこれまでなぜ学問の1つとみなされていなかったのでしょうか?それはどこの国でもこの手の規制は政府の管理下にあり、アカデミアが政府の政策に口を挟むことができなかったからだと思います。従い医療経済学は、医療制度が政府の規制から一番遠いアメリカから発展することになりました。

城戸 佳織

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