[007]ジェネリック医薬品-そのはじまり-

皆さんはジェネリック医薬品という言葉を聞いたことがあるでしょうか?一般的にジェネリック医薬品は普通の医薬品に比べて価格が安とされていて、医療支出の増加に歯止めのかからない日本は国民にジェネリック医薬品をもっと使ってもらい、トータルの医療費を削減しようとしています。

ちなみに日本でのジェネリックの全医薬品に占めるシェアは、2006年で数量ベースで17%、金額ベースで5%で、これはアメリカの(61%、13%)、カナダ(61%、22%)、英国(59%、26%)、ドイツ(56%、23%)等に比べるとかなり低くなっています。

加えて現在日本のトータルの医療費に占める医薬品支出の割合はおおよそ3割程度であり、他の先進国に比べかなり高い割合となっています。従いジェネリックを使うことで薬剤支出を圧縮できれば、かなりの医療費の削減が見込めるというわけです。

ところでジェネリック医薬品とは一体どういったものでしょうか?そもそも「ジェネリック」という言葉は10年ほど前までは医薬品業界に働く人の間でも、海外と取引をする人以外には全く知られていない言葉でした。ジェネリックとは英語で、一般的には「ノーブランドの医薬品」という意味であり、ジェネリックに対応する日本語は後発(医薬)品、あるいはゾロと業界で呼ばれていた言葉でした。それなのになぜジェネリックと呼ばれるようになったのでしょうか?

それにはまず薬と特許の関係を知らなくてはなりません。薬は製薬会社が長い研究期間をかけ研究し、実際にヒトに投与して(臨床試験:業界では臨床試験のことを開発といいます)、効果を確かめた後世に出します。研究の始まりから上市までの期間は大体10年から15年といったところでしょうか?製薬会社はこの期間にかかった膨大な研究開発費用を薬の販売による利益で回収しなくてはなりません。

ところがこの薬が世に出ると、その成分である化学構造や、その用途などがライバル会社にも知れ渡ってしまい、同じものを作って販売しようとする会社が出てきます。このいわゆる二番煎じを防ぎ、最初に開発した会社に一定期間独占的権利を認めるものが特許権です。特許はなにも医薬品の開発だけではなく、他の技術、例えばトヨタのプリウスのハイブリッドエンジンとか、発光ダイオード(LED)など、最先端技術に関して同業他社が勝手にその技術を使えないようにするための手段として使われます。

後発医薬品とは、独占権が認められる期間(通常20年。ただし国によって違う)が終わった後に市場に出た薬という意味で、いわばコピー商品です。ただしコピーとは言っても医薬品ですから、国が定める薬の安全を担保する最低限の基準はパスしなくてはなりませんし、品質的にはオリジナルの医薬品と同等です。(そうではないと考える医療従事者も多いのですが、その問題は後の議論とします)

ゾロというのは、特許が切れた後、ゾロゾロとたくさん市場に出てくるからという説が有力ですが、はっきりした起源はわかりません。ジェネリックの会社はもともと薬を開発した会社がかけた膨大な研究開発費を払わなくてすむので、理論上はその分医薬品の価格を安く抑えることができるのです。日本では政府が薬価を決めますが、自由経済の米国ではジェネリックの価格はオリジナル薬の1~3割程度です。

さて、最初の質問のなぜ日本で「ジェネリック」が使われだしたかですが、これはおそらく厚生労働省が、後発(医薬)品やゾロというややネガティブな言葉ではなく、もっとポジティブな言葉でジェネリックを普及させたいという意図があったからではないかと思われます。その試みは今のところうまくいっているように思えます。

城戸 佳織

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