[278]エレベーターにて

今日は車椅子からの目線で考えたマナーです。

百貨店やショッピングセンターの戦略として、お客を満遍なく店内回遊させるために人気のレストランなどを最上階に配したりします。そして地下に駐車場や食料品店があります。お客は1階より入店、そして1階で降りることが多いので、エレベーターは1階が乗降に混雑しますが、乗れないことはありません。また、最上階も乗り降りがありますので、並ぶことはあっても乗れないことはありません。

しかし、途中の階ではどうでしょうか。日曜祝日など混雑時には最上階から乗って満員になり、途中の階で乗りたい人があって停止しても、ゴンドラは満員で乗れないことが多く、扉が閉まってもその残念そうな顔が印象深い経験を持った人は多いでしょう。

特に障害者は店内を車椅子で移動しなければならず、各階の移動はエレベーターに依存するしかありません。健常者はエレベーターで最上階に行ってもエスカレーターを利用して下がる事が可能ですが、障害者はすぐその上の階に行くにもエレベーターを利用しなければならないのです。

しかし、現実には途中の3階から4階に上がるあるいはその逆を望んでもほとんど叶わぬこととなります。

こんなとき、乗り合わせたアメリカ人やヨーロッパの人はどうするか?

彼らは当然のように、自分が降りて障害者に自分のスペースを譲るのです。そういう文化が彼らの体に根付いているのですね。日本人の場合はまず自分を含めて降りるということはしません。申し訳なさそうにするだけです。

電車に乗るときには、入口付近にいる人は、降車する人の邪魔にならないよう一旦外に出るじゃないですか。これは昭和のそのまた大昔にはなかったことですが、いつしかこれがマナーになりました。今ここで私達は一歩前進して、エレベーターで障害者に出合ったら、気持ちよく自分のスペースを譲ってあげましょう。健常者はエスカレーターを使えばいいし、階段を使えば日頃の運動不足を解消できるってモンです。いかがでしょう?

出典:
NHKラジオ「耳より生活情報(バリアフリー情報)」
バリアフリーカンパニー代表…中沢信様のお話より