[254]ペット同伴

最近ではショッピングセンターやホームセンターなどペット同伴で入れる店が多くなりました。さらにペット同伴が可能なドッグカフェなども増えてきています。しかし実際にはペット同伴に際してはマナー違反が多く見られ、マナーを守っている人やペットを飼っていない人、店の経営者の頭を悩ませることが少なくありません。

いつでもそうなのですが、マナーを守るのはアクションを起こす人が考えるべきことです。つまりこの場合は、ペット同伴した場合に「ペット同伴をしていない人や店に迷惑がかからないよう配慮しているか」が問題なのです。アクションを起こす人はアクションを起こしていない人に最大限の配慮をすべきでしょう。

例えばペットの同伴を特に禁じていないオープンカフェで、人が使う食器から食べ物をそのまま与えている飼い主。備え付けの灰皿に食べ物を分け与えている飼い主。店に取り皿を要求し、それに取り分けて与えている飼い主。テーブルの上にペットを乗せて食べさせている飼い主。いずれもマナー違反です。これらの行為は周囲の顰蹙を買います。ペットの食器は持参しましょう。

備え付けのペット用カートに入れて店内をショッピングする客。カートの下にはオシッコシートを持参して敷いています。ペットも遠慮なくオシッコをしています。こういう光景は良く見ますがこれもマナー違反です。ペットのカートにオシッコシートを敷くのは万が一に備えてのことです。オシッコは事前に済ませて店内ではさせてはいけません。オシッコが我慢できないペットはやむを得ません。クルマの中で待たせるようにしましょう。

大型犬を引き連れて店内を闊歩している光景。大体こういう場合本人は自慢げです。大型犬は禁止されていなくても店内に入れてはいけません。犬が嫌いでない人も他人の大型犬にはさすがに怯みます。100人中1人でも恐怖を与えるようであればそれは遠慮すべきです。

店内で糞尿をしてしまい、それを手際よく片付けている客。一見良さそうですが、糞尿をしている最中は誰もそれを快く思いません。糞尿は事前に別の場所でさせて、絶対に店内ではさせてはいけません。100人中1人でも不快感を与えるようであればこれも遠慮すべきです。

「保健所の指導によりペット同伴はご遠慮ください」
「ただし盲導犬・介助犬は除く」

ファミレスなどの飲食店で良く見る張り紙です。しかし、これはじつは店の苦肉の策なのです。保健所ではこのような指導はしていません。それをあたかも指導しているような書き方は保健所としても迷惑でしょう。

保健所の指導の根拠となる法律は食品衛生法とその管理運営基準です。ここで述べられているのは「厨房や作業場には動物を入れない」「飲食店内で動物を飼ってはいけない」「客席については衛生的に保つ」の三点です。ペット同伴は特に禁止していないのですね。飲食店の客席は厨房でも作業場でもないので、動物の出入りは法的に禁じなければならないものではないのです。

飲食店の店内がペット禁止なのは保健所の指導ではなく、店の考えによるものです。保健所が禁止していなくても、店の判断で禁止できます。それを無理に冒す客がいれば民法で対抗できます。ペット同伴を許可するかどうかはあくまでも店主の判断によります。

快適なドッグカフェは増えて欲しいですが、その前にマナーを知らない一部飼い主のモラルアップを待たなければならないでしょう。一番の被害者はそういう輩と同一視されてしまう「マナーを守っている飼い主」かもしれません。

保健所は特に禁止していない飲食店へのペット同伴|週刊マナー美人
じつは保健所は、飲食店の客席へは動物の出入りを禁じてません

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