[067]床の間

お客として訪問しますと訪問先では客間に案内されます。客間といえば和室です。そして客間には床の間があるのが普通です。一般の普通住宅でも1階の和室には床の間があります。これは客間として使えるようにしてあるのです。

「床の間」の歴史は、室町時代に生まれ、安土・桃山から江戸時代にかけて完成したと言われています。床の間は、室町以前は床の間の主要部分の「床」「書院」「違い棚」はそれぞれ別の部屋に設けられていました。それらを一体化したのが「床の間」の始まりと言われています。

掛け軸は床の間に飾るものと思われていますが、掛け軸の歴史はもっと古いのです。室町時代以前は、掛け軸はもっと気軽に飾られていたようですね。

現代でも床の間には生け花や掛け軸をかけます。これは、お客様をもてなす気持ちがこめられています。生け花は今日お越しになるお客様の好きな花を生けます。お客様が生け花に詳しい人なら、流儀にこだわるのも良いでしょう。客間に通されたお客様が生け花を見て、そこに何かしらのメッセージを感じることができれば上質のもてなしです。

掛け軸はお客様ごとに替えるのが礼儀です。お宅の床の間、いつも同じ掛け軸がかかっていませんか?このお客様にはこの掛け軸と少し凝ってみるのもいいもんです。

掛け軸は自分の「書」を表装し、掛けるのが粋ですね。書がへただって良いじゃないですか。おいでになるお客様を想い、それにふさわしい「書」を掛けるなんて最高の表おもてなしです。

訪れるお客様のマナーもあります。客間に通されたら、まず床の間に目をやってください。飾ってある生け花や掛け軸は「あなた」のために用意されたものです。掛け軸などは鑑定するのは難しいですから、わからないのに無理に誉める必要はありませんが、興味を示すことは亭主(ホスト)に対しての礼儀です 。