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[02]借りる時

私はかっちゃんと離婚して実家に戻り、再就職した職場にいた彼と恋に落ちた。(人妻からくり物語3・第6回参照)彼を父に紹介しようと切り出したら、「もう恋愛結婚は許さない」と言う。

息子が3歳の誕生日を迎える前夜、子供共々彼の住むアパートに押しかけた。彼が「いつか一緒になれるよ」と言ってくれたことを鵜呑みにしての行動だったのだけど、彼としては誰でもよかったみたい。

私は彼の容姿に惹かれていたので、かっちゃんの時と同様で父みたいに命令したり束縛したりしなければ一緒に暮らせると思っていた。ただ今回は私が彼を好きになった事と、連れ子がいる引け目があったのでかなり気を使っていたと思う。

彼は大の酒好きで毎晩缶ビールを6本飲んだ。銘柄はキリンの一番搾り。その後は日本酒だったり、水割りだったりしたけど。だからお酒と肴と食事のおかずを買うのに結構使い込んでいた。

その他家具や雑貨等も買い揃えなければならなかった。私の貯金はあれよあれよという間にすっからかんに。私は彼に息子の親になって欲しいとは思っていなかった。ただ大人の男性として接して貰えればいいと思っていたので、彼が独り暮らしの時と変わらない生活を送っていても、さして気にせず過ごしていた。

ところが2ヶ月後妊娠していることが判った。産まれる前に籍を入れなければならない。まずは彼の両親に挨拶だ。彼の実家は東北地方なので会いにはいけない。なのに彼は実家の住所は覚えていたけど電話番号は忘れてしまっていた。そこで私は彼の両親に宛てて手紙を書いた。

なんとまぁ、彼は上京して2年後位から実家と音信不通だったらしい。私の手紙で居場所が分かり安心したという。私が連れ子がいる身であっても「二人の結婚に異存はないので、1日も早く籍を入れて幸せな家庭を作ってください」と書かれてあり、「ぜひ皆で遊びに来てください」と結んであった。

その年はゴールデン・ウィークとお盆の2回彼の実家に行き、どちらも1週間ずつお世話になった。彼のご両親は暖かい人柄で、最初に行った時には帰りに彼の子供の頃のアルバムを持たせてくれた。貼られた写真の下の余白に一言が書かれてあるのを目にすると、彼が両親に愛されて育ったんだなぁと感じる事が出来る。

彼の実家に行けたのは良かったけど、会社を休んだ分給料は引かれてしまう。私も産休に入り収入は激減してしまっていた。でもお酒も肴も外せない。だから…また行っちゃった。駅前の雑居ビルの中には何社か消費社金融が入ってる。その頃は「おじぞうさん」のCMが目に焼きついていたからI社にした。私は現金があると気が大きくなっちゃうんだよね。それにもう少し欲しいと思う頃に限度額が上がってたりするとラッキー!と思ったり。

その頃は返済が出来ていたからまだ良かった。その後私には想定外の事態が起きてしまったのだから。

山口ひとみ

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