[102]アテネオリンピックで思ったこと

 日本選手のメダルラッシュのうちにアテネオリンピックも閉幕しました。日本国民も、あれだけフィーバーした曽我ひとみさんの家族の帰国問題、サッカーのアジアカップ、ましてやサマワの自衛隊のことも昔の出来事のように忘れ、眠い目をこすりながらTVの中継に見入り、リアルタイムで多くの感動や勇気をもらった気がします。

 私が起業してからしばらくしてシドニー・オリンピックがありました。会社員なら到底見ることができないような時間に試合を見ることができるのがささやかな喜びでもありましたが、ちょうどITバブルが崩壊する頃で景気に一段とかげりを感じ、希望と不安に満ち満ちた頃でもありました。まだ9.11の同時多発テロは起きておらず、もちろんイラク戦争など想像だにせず、世界はもう少し平和だったような気がします。そんな激動の世の中で、多くの方と巡り会い仕事を続けさせていただくことができ、また次のオリンピックを迎えたということで個人的には感慨無量です。

 先日、私と同年輩の男性から「自分にとってオリンピックは何といっても東京オリンピック」というメールをもらいましたが、実は私もそうです。当時小学生だった私は、学校のそばの甲州街道がマラソンコースになっており、先生に引率されゴザを持って沿道に座って観戦しました。伝説的なマラソンランナー、エチオピアのアベベに神を見た思いがし、一生懸命走るすべての選手にずっと手が痛くなるほど拍手をしただけで自分も歴史的なイベントに参加したような気になりました。大人になって知ったのですが、東京オリンピックに備えて東海道新幹線や高速道路ができましたが、いずれも世銀の借款です。今からは信じられないほど貧しい時代でもありました。今回テレビのCMでも流されていた映画「東京オリンピック」には当時の純粋で希望に満ちた日本人の姿がたくさん映っています。

 あれから40年、スポーツ界はプロ化がすすみ国際試合も珍しくなくなりました。オリンピックにもプロの参加が許されると同時に商業化し、また心技体の戦いではなく、コストのかかる科学戦や情報戦の時代とも言えます。となれば貧しい国から環境の整った国に移民する優秀な選手や母国では代表に選出されにくいため他国で代表選手になるなど、今後本来の国家代表の意味が薄れてくるかもしれません。

 なぜか、メダル獲得競争をあおっていたマスコミ。身体能力にすぐれ、スポーツに力を入れる余裕がある国で、人口が多ければメダルの数がふえるのは当たり前です。絶対と言われた人がまさかの敗退をし、逆にダークホースの優勝もあるのが勝負の世界のおもしろさで、私自身は人間のドラマに感動し、頑張った人すべてに拍手を送りました。この地域紛争や民族問題の勃発している時代背景があるだけにスポーツとはいえ、ナショナリズムに火をつけ、外国(ないしは敵国)を倒すことに快感を覚えるというのは怖いような気もします。また日本も提唱者となった「オリンピック停戦」には米国も同意をしませんでした。ロシアではテロが続発しています。平和の祭典の裏では各地で生と死の間をさまよう人がたくさんいる事も忘れてはならないと思います。

河口容子

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