[384]最終号 春の再出発

先週号でお知らせしましたように今号を持って毎週メルマガという形式でお届けしていた「誰でもなれる国際人」の連載を終了させていただく事になりました。2000年10月からスタートした前シリーズ「日本がわかる!」ではニュースは時代の鏡であるという視点から、ニュースから見える日本の姿や問題点を取りあげました。そして2002年 9月からリニューアルし「誰でもなれる国際人」というタイトルで日本の国際化について私自身の経験を通して書いてまいりました。通して約 9年半の連載になり、何が自慢かと言えば配信会社のお休み以外は 1週も休んだことがない事です。読者の皆様に長い間のご購読を感謝するとともに、メルマガの配信およびHPのメンテナンスという地道な作業で支えていただいたデジタルたまごやさんにお礼を申し上げる次第です。海外出張中も入院中も定期的にメルマガが配信されたのはデジタルたまごやさんのおかげです。

個人的にも「日本がわかる!」「誰でもなれる国際人」は非常に思い出深い、生涯忘れられない宝です。2000年 5月に起業いたしましたので、もうひとつの事業記録でもあります。書いた内容はすべて事実ですが、もちろん企業秘密は書けませんし、公表できない「思い」もあります。バックナンバーを読みますとまつわる思い出がリアルに蘇ってきて涙がとまらなくなる事があります。また、たった一人で会社を運営する大変さを支えてくれたのも「書く楽しみ」でした。どんな嫌な事があってもこれをエッセイにするにはどんな切り口でとらえたらいいのだろう?と思えば辛さにも耐えられました。読者の方がたからのメールも継続するための大きな力となりました。

春の到来とともに気持ちも新たにブログでの発信を行うことにいたしました。河口容子の「世界」日記です。
http://blog.livedoor.jp/ysworth2000/

私の仕事はなかなか理解してもらえないのですが、国内外のクライアントの国際ビジネスに関し戦略立案を行い、実務の代行を行うものです。研究者や評論家という立場と違い、常にビジネスの最前線におり、あるいはクライアントの経営陣や担当スタッフとともにプロジェクトを進行していくのが任務です。「誰でもなれる国際人」は一般向け読み物ということであえて専門的な話は排除しましたが、新しいブログでは専門的な話題、あるいはマーケティングや商品開発といった観点からのエッセイ、時には写真も交えての海外の風物の紹介、と切り口はさまざまです。私が接している「世界」はごく限られたものですが、国際ビジネスの現場を感じとっていただければ幸いです。

今までのように定期的な更新は無理ですが、少しずつバラエティを持たせて作りあげて行こうと考えております。

なお、バックナンバー全484本についてはデジタルたまごやさんのサイトでいつでもお読みになれます。また、ブログにもリンクを貼っておきます。
最後に皆様のご健勝とご繁栄をお祈りするとともに、あらためて長い間おつきあいいただきました事に対し厚く御礼を申し上げます。

河口容子

…続きは「河口容子の「世界」日記」で。

[383]採点すること、されること

前シリーズの「日本がわかる!」を執筆中からオリンピックの話題は必ずと言って良いほど取り上げて来ました。自分が好きという事もありますが、国際化をわかりやすく語るのに良い機会だからでもあります。今年感じた事のひとつはカーリング娘たちをメディアはこぞって報道したのに比べ、パシュート娘たちは銀メダル、それも限りなく金に近い銀メダルにもかかわらず報道が地味だったことです。どうも最近はアマチュア・アスリートもタレント化していて結果よりも人気に比例した報道量となっているような気がします。これは大きな変化かも知れません。

もうひとつ感じたのは採点競技の限界。たとえば、ノルディックのジャンプは飛距離、飛型、着地姿勢を点数化して足し上げたものが結果となりますが、飛型や着地姿勢の良し悪しは素人でもわかりやすいものです。速さ、距離、高さ、球技の得点などシンプルに勝敗がわかる所がスポーツの潔さ、さわやかさだと思うのですがフィギュア・スケートに至っては素人にはまったく訳のわからない複雑な採点法方式です。ジャンプの種類によって点数が異なりますが、その差が全体の点数の中で妥当なのかどうか私にはわかりません。見栄えでの加点というのも基準があいまいで、ジャッジの主観や状況により違うのではないかと思います。その実、国際競技で実績の少ない選手には点数は控えめという解説を聞いたことがあります。

このルールで行けば、一番点数が取れるプログラムをシミュレーションして作り、その通りスムーズに表現できれば「金メダル」という事になり、選手個々の持つ個性は点数につながらなければ封印されてしまうような気がします。技術的には限界に達し、高度の技にチャレンジすれば表現力や見栄えでどうしてもミスが出、逆に氷上バレエに重点が傾けばもうスポーツとは呼べなくなります。人間が人間を短い時間で評価する難しさの象徴でもあるような気がして、フィギュア・スケート界は今後どんな展開をしていくのか楽しみでもあります。

話は変わりますが、 1月と 2月に「小口輸入のためのマーケティング」というテーマで講演をやらせていただきました。特に公的機関主催のセミナーでは講師は聴講者アンケートにより採点されるのです。 5段階評価を行い、4と5の比率を顧客満足度としており、1月の分は95.6%、2月の分は 100%でした。私自身の出来栄えは 60-70点と思っていただけに驚くと同時に甘い点数をつけて下さった聴講者の皆様に感謝しています。

私自身は「うれしい、良かった」でおしまいですが、企画担当者にとってはセミナー事業の存続やご本人の評価にまで影響するようで大変重みのある採点結果のようです。これも明確な採点基準があるわけではなく、あくまでも「雰囲気」や「印象」が与える影響が強いのではないでしょうか。私が聴講者となって採点する際は 3を基準にして、資料が丁寧に作られている、準備が行き届いている、わかりやすく理解させる工夫がなされている、ユニークな理論や経験談の披露、身だしなみや態度を総合して加点減点をする事にしていますが、考えれば考えるほど、講演する立場も知っているだけに迷う事も事実です。

さて、長らくおつきあいいただきましたエッセイ「誰でもなれる国際人」をメルマガという形でお届けするのは次号で最後となります。違う形での情報発信を準備中です。詳しくは次号でご案内させていただくつもりです。

河口容子