2006年6月アーカイブ

[220]国際人に出会った日

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2年ぶりにアナコリュート号に乗った。最後に乗ったのは突然解雇のすぐ後で、その次に見たのはパリに移ろうと決心した日。古巣の船会社に戻りアナちゃんと一緒に再出発。正直言って生活苦だけどでもアナちゃんがいるから私はパリを離れられない。アナちゃんと一緒に沈没するまで頑張るんだもん。

今回はアナちゃんの取材に日本からジャーナリストが数名来て、その案内役として添乗。定員50名のうち日本人は5名、残りはアメリカを中心とする英語圏の人ばかり。6泊7日の船旅、さて我々日本人はガタイの大きな英語圏の人たちに押されてしまうのだろうか。

アメリカ人はとにかく陽気、ハーモニーを大切にするから同乗するのは本当に楽しい。その中に一人、とあるアンクルサムが私に擦り寄ってくるではないか。どうやら同じデジカメを所有しているのが気に入ったらしい、そして充電器を忘れたことも理由のひとつ。このサムさん、現役のときは相当のビジネスマンだったのが伺える。今は引退してただのお子チャマのよう。昼間サロンでジャズピアノを弾いてたかと思えば、夜は食事の後にギターでフォークソングで他の客を魅了していた。たまげたのは、セーヌ川の夜クルーズでカラオケを始めたこと。バリバリの英語訛りの仏語で謡うフランス童謡に他の船からも喝采が。現役中に仕事人間に徹することなく、このような教養も身につけるとはあっぱれ。

その侍は食事の席に着くと必ず自分から周囲に話し掛けていた。相手の出身地を伺い、その地を訪れたときの話などを始め、自分から殻を割って周囲を引き込んで行った。その侍は自ら英語は苦手と言いながらも、ためらうこともなく堂々とした態度で。側で聞いていて確かに流暢でなかったけど、その誠実な語り口が温かみを感じさせる。

語学は苦手だからと言いながらも、外国語で現地の人と口論したことがある事を自慢する同輩は少なくない。毅然な態度で打ち負かした事を誇示するけれどどうなんだろう。限られた語学力の中で相手に和解をさせる努力を試みないで勝者と言えるのだろうか。

下船前夜、ガラディナーが開かれる。最初の夜よりも一層交友が深まっている。侍が折り紙を折っているではないか。同席の人たちに鶴や奴さんを折ってプレゼントしてる。クルーが華やかに飾りつけた食卓に侍のささやかな国際交流が彩りを添える。私は亡き母の着物をリフォームして洋服にした装いで日本を紹介するのが精一杯だった。

夢路とみこ

[219]継続は力なり(3)

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パリに来てしばらくは語学学校に通っていたけれど、仕事が忙しくなるにつれて時間が取れなくなり、最近は全く行ってません。幸いなことにフランス人ビジネスマンと同居しているからビジネスレターを書くのを手伝ってもらったり、翻訳で理解できない部分を教えてもらったりとしているけれどやはり早く時間を調整出来るようになって語学学校に戻らなければ。自宅勤務だから会話も少なく、テレビやラジオでヒアリングは何とかなっているものの英語ぺらぺらの同居人だから苦し紛れに英語で逃げるという悪習慣を最近は責められる事も。

機会があってパリ大学の日本語講座にボランティアで行ってみた。どこの国でもそうだけど、日本語熱のある人はさまざまな理由でそれを学習する。一番多いのは大和撫子とのロマンスだけど、漫画に影響を受けた人もいれば、対日ビジネスを目指す人も少なくはない。

驚いたのは、2年目と3年目のクラスに参加したときのこと。2年目でもしっかりと教授の話す日本語をきちんと把握していること。漢字を含んだテキストを読んだり、会話の相手をしたフランス人学生は私が喋る日本語をやはり漢字もきちんと書いているではないか。私は通算で多分10年以上はフランス語を勉強しているけど、彼らの2,3年のレベルには程遠いと感じさせられた。3年生のクラスに至っては日仏電子辞書なんか持っている学生もいて、日本語でそのまま引いていた。まるで私が普通に電子辞書で漢和辞典や国語辞典を使うように、驚くばかり。私もフランス人が一般的に使うラルースの百科事典みたいなものを家で使うけれど、そんなすらすら引いて理解出来るにはあと何年かかるものか。

私も昔は海外での日本語教師になることに憧れた時期があった。だから海外を目指したという理由にもつながる。でも、実際にそれを職業としている人たちと接すると太刀打ち出来ないと思う。特に私のような気が短くて忍耐力がなくって、思ったことは少々乱暴な言葉でも吐き出してしまうような性格には向いてないと思う。外国語が出来るから日本語が教えられるというのは、あまり正しい解釈ではない。外国人に日本語だけで日本語を教えるのは相当深く日本語を理解していないと出来ないことだと思う。

パリ日仏協会のオフィスの掲示板で見つけたこのボランティアの件、すごくためになった。このような機会を経て自分の語学力に渇を入れることは大事なことだと思う。頑張ろう!

[108]語学学習、継続は力なり

夢路とみこ

[218]私のわらじは多足かな(2)

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ディジョンで船の仕事だけをしていた頃は多足だった。マーケティングからクルー業務まで一括してこなす能力を求められた。5年半の間に得たさまざまな経験と学習がパリに来て仕事の幅を広げる機会をもたらした。

パリに出て来て、まず勤務先の船会社が変わった。元の古巣に戻り、昔の上司と仲間達と一緒に一旦倒産した会社の建て直しに関わっています。新しい雇用条件はかなり厳しい。最低賃金と歩合のみ、この給料ではパリで家賃さえも払えない。パリで追加に別の仕事をしたいけれど現在保有の労働許可証がブルゴーニュ限定のため、パリの企業では就職が出来ない。上司は何度もパリに来て労働局と掛け合ってくれ、会社の弁護士も動いてくれたけどEUの拡大で移民が多すぎるパリでは許可証の書き換えが不可能に近い。

もう駄目だ、と思ったときに縁があって日本の食品輸入会社の仕事を手伝うことになる。ここの社長とは数年の付き合いで、私が大食漢で多少なりにも食材に関する知識があることに興味を示してくれたようだ。船のシェフとは仲良しでいつも料理や食材について教えてもらったことが幸いしている。その仕事のためにチーズを探したり、生ハムを試食しまくったりと貧乏ながらにも美食に預かれる。この社長の好意でブログをもたせてもらうことになりました。ブルゴーニュ通信局が文章でフランスの魅力を紹介なら、こちらは写真中心で魅了します。私はカメラ小僧でデジカメお嬢。事情があって来たくても来れないフランスファンのために、本通信局と私のブログ「西欧食文録」で私のご近所さん気分を味わってもらいます。

そして、ブログはもう一本。こちらは仕事の延長にある訳でなく、単にサイトオーナーのご好意のみ。福岡にある輸入雑貨店でフランスに精通している方がフランスの地方の魅力をブログにしないかとお誘い頂き、プッツン、プッツンと入稿に切れ間があるけれどもこの国の魅力をもっと掘り下げて、さまざまな視点から紹介しています。

今は船の仕事、食の仕事、ブログのライター、旅行企画手配、現地アテンド、アパルトマンホテル等のマーケティングと「多足」どころか「タコ足」状態。全ての基本が「フランスが好き」にあります。

フランス便り
私のわらじは多足かな

夢路とみこ

[217]ミルクハンター報告(1)

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モンパルナス界隈はシックなアパルトマンが多くハイソな感じがします。その昔、芸術家達は貧乏な頃は右岸のモンマルトルに住んで、成功したら左岸のモンパルナスへと引っ越したとか。また哲学者、ジャーナリスト、インテリ系が集まるのもモンパルナスだとか。そんなモンパルナス界隈、メトロ4番線Vavinヴァーヴァン駅すぐ前にあるカフェ、Le Domeル・ドームはミルクハンターの私が一番気に入っているお店。

1杯4ユーロのミルクを高いと思うか、安いと思うかは皆さん次第。でも、その雰囲気と洗練されたギャルソンの配膳、ベルエポックをふんだんに味わえるアールデコ風のインテリアに私はいつも酔っています。ミルクが飲みたくなったとき、ちょっと疲れたとき、ハイソな気分にひたたりたいとき、私がこの店に行きたくなる理由は幾つもあります。でも、ここに来るたびに「パリに移ってきて良かった」と思わずにはいられません。たった4ユーロでひと時の幸せが買えるようなものだから。

パレ・ロワイヤル広場の一角、モンペシエ回廊とも呼べる画廊や高級レストランが連なる場所に私をときめかせるお菓子を出すカフェがある。どちらかというと辛党で、甘いものはそれほど食べないのですが、時々甘いものが恋しくなることも。その店、ムスカードは外を通る人たちを巧みにその美味しそうなお菓子で人を釣っている。西洋菓子と一緒にアラブ系菓子も置いているけれど、やはり洗練された場所に相応しく味も見かけも贅沢。またこの店に足を向けたくなる理由が「ミルク」おいしんだなぁこれが。店内のインテリアもちょっとエギゾチックで好きなんだけど、とにかくミルクとお菓子に誘われる。4ユーロのパラダイス。

極めつけがメトロ駅7番線Jussieu ジュッシュー駅前にあるおやじカフェ、Relais Jussieuルエ・ジュッシューのチーズプレート12ユーロ。チーズの盛り合わせに好きなグラスワインが1杯ついての値段だけど、メニューを読むだけだとこんなものが出るとは想像もつかない。チーズは山羊、牛、羊とバランスよく3種類のミルクで作られたものがそれぞれ。トム・フレッシュという山岳地方の郷土料理に加熱して出るチーズがスライスされて。山羊のチーズは軽く火を通しているけれど、その具合がなんとも言えない。外皮を破ると美味しさがよだれのように流れ出る。とにかくミルクハンターとみこの採点は20点満点。

夢路とみこ

【関連記事】
[216]ミルクハンターとみこ

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