[1008]和牛と国産牛

和牛(わぎゅう)とは、日本在来の牛に外国種を交配して改良した肉専門の4品種の牛のこと。「日本国産」の牛を「和牛」というわけではなく、種類が和牛なのです。したがって外国産の和牛もあります。国産牛とは、国内で生まれ育った牛のことで、海外種の牛も日本国内で生まれれば国産牛となります。一般には和牛を除いた国産生まれの牛を国産牛としてくくっています。

和牛4品種とは、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種をいいます。生産されている和牛のほとんどが黒毛和種で、褐毛和種は高知・熊本などの一部で育てられており、短角種は東北の一部で多く育てられています。無角和種は山口県の在来種で生産量が非常に少ないといわれています。この4品種間の交雑種も和牛ということができます。

流通する和牛の内、9割以上を生産量の多い黒毛和牛が占めています。和牛は一般に高価ですが、その理由は食用になるまでに一般の牛より成長時間がかかること、飼育方法に手が込んでいること、大量生産が難しいことなどが挙げられます。

和牛の代表的なものとしては松坂牛、神戸牛、近江牛が有名です。輸入の牛肉も味は悪くありませんが、黒毛和牛にはかないません。肉から出る肉の甘みが全然違うからです。しかし高価なためなかなか口には入りません。

国産牛と書いてある肉はホルスタインという乳牛種の肉が多いです。肉牛ではないため味が落ちるのはやむをえないところでしょう。気をつけるのはこのホルスタインからBSE(いわゆる狂牛病)が出たことです。和牛からはまだBSEは出てませんが、和牛を買う際にはは必ずBSE検査済み証明書、産地銘柄黒毛和牛生産者血統書が付いているものを買うようにしましょう。証明が付いていればまずが安心・安全です。

さて、なぜ和牛がおいしいのかというと、それは脂肪のせいといえます。牛の脂肪に含まれる脂肪酸はパルミチン酸などの飽和脂肪酸と、オレイン酸などの不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸が多いほど脂肪が解ける温度は高く、逆に不飽和脂肪酸が多いほど脂肪が解ける温度は低くなります。

銘柄和牛は不飽和脂肪酸が多くなるように改良飼育されてきたといえます。不飽和脂肪酸が多いということは魚の脂肪と同じように健康に良い脂肪といえるかもしれません。脂肪に関しては、「牛なのにほぼ魚」といえるのです。

この和牛に含まれる不飽和脂肪酸は加熱により独特の香味をかもしだし、それがおいしさに一役買っています。高級銘柄牛の融点は和牛の中でもとりわけ低く20?25℃前後。指で触るだけで溶け始めます。この脂肪と肉の絡み具合がさらにおいしさに影響します。黒毛和種を中心とする和牛は「脂肪交雑」が多く、俗にいう「霜降り」になっています。霜降りが多い肉は、肉の繊維に直角にカットするとその脂肪交雑のために肉の繊維が非常にほぐれやすい状態になります。これが和牛の肉質の柔らかさを作り出すのですね。

《読者様から補足》

はじめまして。いつも楽しく読ませてもらっています。
今回の国産牛の内容についてですが、国産のホルスも交雑も、国外で生まれ育ち日本に輸入され、国内での肥育期間が長ければ国内産になります。スーパー等で出回っている交雑牛はほとんど輸入牛と和牛のかけあわせです。私の店で取り扱っているのもそうです。
松坂牛も松坂で生まれた牛はほとんどいませんしね。原産地表示のおかしなところです。
しかもホルスなんかよりアメリカ産牛のほうが身が締まっていて数段おいしいです。

2006.11.09

※貴重な現場の情報ありがとうございました。