[1255]焦点距離の話

最近のデジカメは解像度も上がり、かなり性能がよくなってきました。携帯電話に付属するカメラ機能も、単体のコンパクトデジカメに勝るとも劣らない性能を誇っています。

しかし新しいデジカメを買って勇んで写真を撮ったけれど、あまり感動が無い、と感じた人も多いのではないでしょうか?

私も長年使ったソニーのサイバーショットの動作がおかしくなって、LUMIXに買い換えました。ところが、撮れた写真はむしろ古いデジカメで撮ったもののほうが美しいのです。これはどうしたことか?

答えは焦点距離にあります。

焦点距離とはレンズで集めた光を一点に収束するときのレンズから焦点までの距離をいいます。焦点距離が長いと光が収束するときの色収差が少なくてすみます。また歪みも少なくてすみます。

焦点距離が短いと、レンズを厚くしなければならず色収差が大きくなり写真の色がぼやけます。また歪みも大きくなります。

つまり、同じ光を集めるならば、焦点距離は長く、レンズの口径は大きいほど高性能になります。天文台の望遠鏡が長く太いのにはそれなりに訳があるのです。

一方で最近のコンパクトデジカメを見てみるとその薄さが目に付きます。新製品になるほどどんどん薄くなっていきます。この薄さで焦点距離を稼ぐのはかなり難しい仕事。そこで内部のマイコンで補正をかけて結果的にきれいに見える画像を作り出す、これが最近のデジカメです。

一方で古いデジカメはボディが大きく無骨な格好をしていますが、焦点距離は結構長かったりします。新しいデジカメが古いデジカメに勝っていないのはこういった事情があるからなのです。

では、一眼レフカメラは?

コンパクトデジカメの普及をよそに、一眼レフのデジカメも人気です。一眼レフは薄さにこだわることなく、レンズも大口径なのが普通です。つまり焦点距離を余裕を持って確保しています。したがって、写真の表現力はコンパクトデジカメの比ではありません。

コンパクトカメラが小ささを目標とする限り、大きな一眼レフにはかなわない道理がここにあります。

[2010.04.10追記]
当初焦点深度と記述しましたが→焦点距離に訂正しました。

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