[1260]内陸国

2013年5月10日

海岸線を持たない国を内陸国といいます。海岸線を持たない…ということは漁業など海洋資源が利用できないことや、海外交易において海上での輸送手段を行えないことが国家として致命的となります。そのため、諸国は内陸国にならないように国家戦略を行い、また努力してきた歴史があります。

日本はもともと島国であり海洋の恩恵を当たり前のように受けてきましたが、内陸国の苦労はなみなみならぬものといえます。内陸国は日本国内でいえば、山梨県や栃木県、長野県のようなものですが、国内の場合は県境でいざこざが起こることもありません。しかし、内陸国の場合は国境を超えて自由に行き来できませんからその制約は相当なものです。

内陸国の不利益は、たとえば東南アジア諸国の最近の国内総生産 (GDP)を見てみましょう。

タイ…273.25
シンガポール…181.94
ベトナム…89.83
カンボジア…11.18
ミャンマー…27.18

これに比べ格段に劣るのがラオス…5.26です(単位10億US$)。

ラオスは内陸国ですが、国内を通るメコン川が国際河川(どの国の船舶も自由に航行できる河川)となり、ラオスは沿岸諸国に遠慮なく海に出られるとはいえ、発展の遅れは否めません。

内陸国の不利益を解消するためのルールとして、国連では内陸国の発展を助けるための国連海洋法条約を定め、内陸国に通行税を課されずに他国を通過して海に連絡する権利が与えられています。これを【回廊】といいます。

ちなみに内陸国は2010年現在43あります。スイス、アフガニスタン、モンゴル、ジンバブエ、ラオスなどが内陸国です。この中にはカスピ海に面している国も内陸国としていますが、カスピ海は海ではなく湖として扱われています。