[320]ホモ牛乳

騒ぎになった雪印の牛乳ですが、最近スーパーなどにも復活してきました。しかし売れているのかどうかはわかりませんが、他の牛乳に比べ、心なしか本数も多く売れ残っているような気もします。

子供の頃、牛乳の蓋でよく遊びました。今から考えると何でもおもちゃになった時代です。今どきの子供は牛乳の蓋でなんか遊びませんよね。でも、当時は牛乳の蓋は子供同士では貨幣に匹敵するくらいの価値があったのです。

その蓋には「ホモゲナイズド」とか「ホモ牛乳」などと書かれていて、ちょうどその時期はレスビアンやホモなどの同性愛という言葉が世間に浸透し始めた頃で、子供心に「ホモ」という怪しい響きが印象的でした。ホモ牛乳の「ホモ」というのは「ホモゲナイズド」の意味で、均一化同一化したという意味です。ホモセクシャルの「ホモ」もじつは同じような意味で使っています。

加工しない通常の牛乳はほうっておくと分離します。これは脂肪分の粒子が大きく、水分に対して比重の軽い乳脂肪分が浮いてくる為です。成分的には問題ないのですが商品的には問題ありますね。輸送や商品を置いておくだけで分離してしまっては困ります。

そこで乳脂肪の浮上(これをクリームラインといいます)の防止、そして品質保持の目的で、乳脂肪分の脂肪球を細かく砕き安定した状態にしています。それを均質化(ホモジナイズ)といいます。逆に均質化されていないのが、ノンホモ牛乳。こちらは時間が経過すると乳脂肪分(クリームライン)が

浮上してくるのが特徴です。
牛乳の脂肪球の粒子は3~7ミクロンですが均質化することにより、1ミクロン以下になります。このために脂肪球の粒子が細分化され表面積が大きくなります。したがって牛乳が胃腸の中で消化液に広く接するので消化が良くなるわけです。また舌触りもなめらかになります。

ホモジナイズは牛乳を均質機に通すことにより行われます。高圧ポンプにより100~200kg/平方cmの高圧を牛乳にかけて、均質メッシュのきわめて微細な細孔から押し出します。それにより脂肪球が破砕し細かくなります。つまり裏ごしするわけでね。

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