[282]ブラックペッパー

ラーメン屋に行くとでかいギャバンのブラックペッパーの缶がテーブルごとにおいてあったりするとうれしくなります。しかしですね、出来上がったラーメンに一口もつけないうちに胡椒をかけたりするとラーメン屋のオヤジににらまれます。味わわないうちに胡椒をかけるなんてなんてヤツだとばかりに。

通のお客さんになると、ラーメンにブラックペッパーはかけません。「すいません。白胡椒ないですか?」なんて聞いてきます。そういうお客のために白胡椒を用意してある店はマル。

ブラックペッパー(BP)とホワイトペッパー(WP)はともにコショウ科の同じ植物です。BPは胡椒の実を未熟のまま摘んで乾燥したもの。WPは赤く熟してから摘んで、水につけて皮を柔らかくして取り除き、乾燥したものがホワイトペッパーです。

ヨーロッパの料理は肉食が多く、肉の臭みを消すためにコショウは欠かせません。古代ローマ時代ではコショウは貴族の家で純銀製の壺に入れて使われていて1粒づつ数えながら使う程の貴重品でした。

コショウが調味料として使われるようになったのは、古代インド紀元前5世紀頃からといわれます。胡麻(ゴマ)、胡椒(コショウ)、胡蝶(こちょう=アゲハ)、胡弓(こきゅう)などのように「胡」とつくものは中国からきたとされますが、そのルーツはインド周辺です。そういえばキュウリも胡瓜ですね。

ちなみに、グリーンペッパーというとピーマンのことをいうこともありますが、これもBPやWPと同じもの。グリーンペッパーは摘み取った未熟果を塩漬けにしたもの、あるいは未熟果を特殊乾燥装置を用いて低温下で短時間に強制的に乾燥したものをいいます。

使い方は、BPなど香りや辛味の強いものは料理の下ごしらえに、WPは出来上がった料理の香り付けに、グリーンペッパーはマリネなどに使うと清涼感が増すようです。