[252]トーテムポール

インディアンはうそをつかないという。本当だろうか?このようなフレーズはちょっと(だいぶ?)昔のTVドラマ「ローンレンジャー」などでよく出てきたものです。そこでちょっと考えてみました。以下は私の独断による意見です。

インディアン(ネィティブアメリカン)は文字をもたないという。すべて言葉で言い伝え、それで事足りていました。なぜ文字をもたなかったか?それは文字をもつ必要が無かったから、といえるのではないでしょうか。

そもそも文字が発達してきたその背景は、記録するという機能があげられますが、相手との意思疎通を確かめる意味合いもあります。つまり、言った言わないによるトラブルを避ける意味での約束のための文字。これは相手のうそをつかせないためのものでもあります。その点インディアンは律儀でうそをつかず賢かったので、文字が無くても相手との意思疎通がうまく出来た。だから文字を必要としなかったのではないか・・・。

さてそんなインディアンでも、様々な表現をするためいろいろなアイテムを使います。トーテムポールもその中の一つ。トーテムポールは、もともと北アメリカの北西海岸インディアンがつくる彫刻柱のことで、そこには家の所属する集団が所有する紋章として動物や、神話に登場する人物が刻まれています。インディアンはその場所に応じたトーテムポールを置くことによって、色々なメッセージを発信したのです。

トーテムポールといっても種類があります。家のそばに独立してそびえる「独立柱」、墓地に立てる「墓柱」、家の正面にはめ込んである「入口柱」と家の中に建てる「家柱」の4つがあります。「家柱」は、木造住居の室内の四隅近くにそれぞれ一本ずつ立っていて、屋根を支えています。

インディアンは、先祖から伝わる神話や伝説、歴史上の出来事、あるいはその集団の願い、タブー、神様のお告げなどから、その部族にとって関係の深い動物、植物、自然現象などを選んで集団の呼び名とし、これを世襲の紋章(トーテム)としてポールに刻み、魔除けあるいは誇り高き歴史を刻んだ表札として立てられてきました。したがって同じ動植物をあしらったトーテムポールは集団の祖先が同じことを表し、親交を深めあるいは同族結婚を忌んだりする目安となったのです。

さて、このように考えると日本の幼稚園や保育所、あるいは小学校によく見られるトーテムポールは一体どういう意味なのでしょうか?「世襲の紋章」という意味で使われてはいないようですし、新入生を歓迎する意味での歓迎柱、あるいは卒業生を見送るための見送柱、ということにしておきましょうか。

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