[188]ビジネスモデル特許

ベンチャー企業あるいは企業のベンチャー部門と言うのはビジネスモデルを開発するところである。モデル作りだから、そのモデルが成功するかどうかを検証する。儲かるか儲からないかはニの次となる。

ビジネスモデルが確立されるとそれを「発明」とし特許をとる。特許が取れればそのモデルを使ったビジネスはすべて特許に触れるから、ビジネスを続けるには特許料を払うか撤退するかどちらかを迫られる。有用なビジネスモデル特許を持っている人は特許料収入が入る。これは膨大な金額になる。有用でない場合は誰も使わないから特許を持っていても収入にはならない。

今世界中でビジネスモデルの確立がブームになっている背景は、ビジネスモデル特許をとり、そのビジネス自体を独占しようと狙ったものである。つまり他社の参入を未然に防ぐことが含みにある。ところがこのビジネスモデル特許に「待った」がかかった。なんでもかんでもビジネスモデル特許とするのはおかしいとするものだ。

特許法が保護の目的とするのは技術的創作物(発明)に限られる。技術というものは、常に改良が加えられ、その結果、今新しい斬新な技術もいつの日か陳腐化する。だからこそ特許法は新しい技術的創作に独占権を設定しうるのである。つまり、発明は常に陳腐化する性質を持つ。

ところがオークション・逆オークションなどに代表されるビジネスは歴史的に見て陳腐化しないし、また陳腐化する要素が無い。このようなビジネス「手法」に対して特許とすることは、問題があり、特許力が永遠に続くと言うことは育つべき文化を阻止することにもなりかねない。つまり人類にとって損失になると言うことである。もともと特許は私人に永遠に独占を許す主旨のものではない。

米国のアマゾン・コム社のワン・クリック・特許がいろいろ言われているが、これはビジネスモデルというよりソフトウェアの技術的な手法に工夫を凝らしたもので、これはそのうち陳腐化するであろうから特許が認められてもおかしくないものである。