[1269]亜麻と亜麻仁と亜麻仁油

2013年9月26日

麻に亜をつけて亜麻(あま)。亜麻とは麻に似ているが非なるもの、という意味合いです。実際、麻の茎で作った繊維は「ざらざらごわごわ」という風合いですが、亜麻の繊維はむしろしっとりしていて肌触りがよく、高級な服飾素材です。

亜麻のことを英語でリネン(学名:Linum)といいますが、このリネンで作った高級な下着をフランスではLingerie(ランジェリー)と呼ぶようになったのです。さらに、亜麻の繊維は強靭であることから、その繊維を織って糸やロープを作りましたが、それがLineとなり、英語のライン(線)の語源となっています。

次に亜麻仁(あまに)。亜麻に仁という字をプラスしたこの言葉は「亜麻の種子」という意味です。仁とは種子、それも種子の中にある硬い核のことをいいます。中国料理のデザートに杏仁豆腐というのがありますが、これは杏(アンズ)の仁(種子)を粉にしたものを使ったデザート。実際にはアンズの種ではなく似ているアーモンドの粉を使ってたりするのですが。

ナッツとして利用されるクルミ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ギンナンなども種子の仁の部分を食用とします。ここは種子の中でも次世代に繋ぐ大事な場所で栄養分たっぷり。だからおいしいんですね。

そして亜麻仁油(あまにゆ)。これは亜麻の仁を搾った油(フラックスシードオイル)のこと。低温で絞った上質の亜麻仁油は「オメガ3」という成分が多く含まれており食用や肌に直接つけたりして健康に役立つため高価です。

亜麻仁油は食用にもしますが油絵の具のバインダーとして使われることも有名。バインダーとは顔料同士を結びつけ、絵の具として存在させるもの。亜麻仁油は空気に触れると固まる乾性油のため、時間が経つと乾く、という性質から油絵の具のバインダーとして優れているのです。

また木製家具のオイルフィニッシュとしても亜麻仁油は使われます。ハウスシックが問題になる昨今、家具に使う塗料やオイルも気を使います。亜麻仁油は人体に悪影響をもたらす成分を含んでいないので、家具にも使われるというわけです。

亜麻は茎から高級な繊維をとり、種子からは油を採り、食用や油脂として多くの人々に役に立ってきました。亜麻は麻と同様、昔から親しまれてきた、有用な資源ということができます。

【関連記事】
感動の園芸・儲かる農業[24]ニーム核オイルについての質問と回答