[068]御侍史(おんじし)

2014年9月19日

りき様よりお便りをいただきました。貴重な情報感謝いたします。

りき様>こんにちは。「常識ぽてち」に度々取り上げていただいている者です。いつも、ありがとうございます。で、今回メールをお送り致しますのは、1月24日に配信されました「常識ぽてち」に「御待史や御中・御几下はどういう時に、どちらを使うのかわからない/意味、読み方、その他の記述方法などあったら教えてもらえないか」というご質問がありましたのをずっと気にかけておりましたところ、つい最近、偶然詳細を知る機会に恵まれました。以下、内容です。

「御待史」(おんじし)または「侍史」(じし)

手紙で、相手を尊敬してあて名に添えて書く語のこと。
もともと「侍史」とは「右筆(ゆうひつ)」のことです。
「右筆」というのは
1 昔、貴人のそばにいて物を書くことを受け持つ人。
2 武家の職名。文書をつかさどる職。

つまり、貴族などの身分の高い人の代わりに「手紙を書く専用秘書」と、お考えになればよろしいかと思います。その事から転じて、手紙の宛名の下に小さく「侍史」と書くのは、たとえ実際には自分で書いていても、「この手紙は侍史を通してお手紙をさし上げます」という事を表わし、そこから、「あなた宛のこの手紙をとても丁寧に書いています。」という意味を表わすものです。相手に対して特に尊敬の念を表したい時に、宛先の後にこの言葉を書きます

(例1)

広島県広島市◎区○○町△-×-□□
山田 太郎 様
侍史(←宛名より若干小さめの文字で書く)

と こんな書き方をするそうです。

「御机下」(おんきか)も同様な書き方ですが、若干意味が異なります。「机下」は「お側」(おそば)という意味で、これをつけることにより、「私はいつもあなたの側にいる、従者のような存在ですよ」という意味が生じ、「御侍史」同様、相手を敬う気持ちを表わす言葉です。「几下」も「机下」も同じ意味です。

ただ、現在は、このような手紙の後に「後付け」を書く習慣が少なくなっています。

尚、「御中」は、宛先が会社・団体名の場合、宛先の下につける語です。宛名に「様」をつけるのと同じ感覚でつける語です。
従って、

広島市○区△町△-×-□□
広島株式会社 様

と書くのは、手紙のルールにそぐわない書き方になります。
正式には、

(例2)

広島市○区△町△-×-□□
広島株式会社 御中

と書くのが、ルールに則った、正しい書き方となります。