[168a]ザウター

ピアノといえば、スタンウェイとベーゼンドルファー。この二つを知っているだけでも相当な「通」ですが、更に薀蓄を傾けるならここにザウターを加えたい。

ザウター「SAUTER」はドイツのシュバイヒンゲン、1819年の創業だ。これはスタンウェイより35年前、ベーゼンドルファーより9年早い。つまりヨーロッパのピアノの親父的存在がザウター。

ザウターはウィーンアクションといわれる伝統を継承し、タッチが軽く、華麗な指使いを可能にし、また美しい表現をできるよう明るく開放的な音を実現したピアノである。

ザウターがそれほど有名でないのは、家庭用やレッスン用を目的としたピアノを製作していたため、コンサート用のための宣伝を行わなかったことがその理由である。

元々が家庭用であるため、ヨーロッパのモデルでも価格的に買いやすい。しかも音色はベーゼンドルファーの兄とさえ言われた職人に作られたものであるからその音質には定評がある。ザウターを見かけることがあったら是非その音に耳を傾けていただきたいと思う。

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