[1283]マグカップとサハラ砂漠

今日のお題は「マグカップとサハラ砂漠」です。なんら関係のないようにみえるこれらの言葉は実は同じ仲間です。

それは、重複表現。
つまり、同じ意味の言葉が重なっているのです。

マグカップはフタがなく取ってのついた筒型の大き目のカップです。これを英語表記するとすれば「mug cup」になるのでしょうが、英語ではこういうカップのことを「mug(マグ)」といいます。「mug」も「cup」も同じ意味なので「mug cup」とはいいません。

つまり、日本人がよく使う「マグカップ」はアメリカ人には「カップカップ」といっているのと同じに聞こえるのです。

同様に「サハラ砂漠」。サハラ砂漠はアフリカ大陸北部にある東西5600km、南北1700km、面積は約1000万km2ある世界最大の砂漠です。日本の面積は約38万km2ですから、日本の30倍もの広さがあります。

この「サハラ」ですが、元来アラビア語で「砂漠」「荒野」を意味する一般名詞です。特にサハラ砂漠に接する北アフリカなどではサハラ砂漠自体をサハラと呼んでいます。つまり、サハラ自体に砂漠の意味がありますから「サハラ砂漠」は現地の人が聞くと「サハラサハラ=砂漠砂漠」といっているのと同じことになります。

「サハラ砂漠」はその名称「Sahara」自体に「砂漠」の意味を含むことから、英語では砂漠を意味する語「Desert」は付けず「The Sahara」と表記するのが正式なのですが、英語圏でも同様の重複表記がされているようで、ウェブを探索すると「Sahara Desert」なることばも結構ヒットします。

ほかにも、フラダンス(フラ=踊り)、排気ガス(ガス=気体)、チゲ鍋(チゲ=鍋料理)、射程距離(程=距離)など知らずに使っている重複表現は結構多いです。