[275a]海底ケーブル

日本からアメリカに通じている通信用海底ケーブルは、神奈川県の二宮というところから海中に投入されています。ケーブルは2本投入されており、1本は九州の宮崎で一旦上げられ、そこからまた海中に入ってハワイ経由でサンフランシスコに向かっています。これが南回り。もう1本は北回りといわれ、二宮から直接サンフランシスコに向かっています。通常は北回りのケーブルを使用し南回りのケーブルは緊急用となっています。

神奈川とサンフランシスコを結ぶ全長9850kmのケーブルは、継ぎ目なしのハイテク1本モノ・・と言いたいところですが、じつはまだそこまでの技術は無く、信号も減衰することから150kmごとに中継器が入れてあり、そこで減衰した信号を増幅しています。

光ケーブルはアクリルのような弾力性のある素材でできているので曲がったりしても大丈夫ですが、曲がったケーブルの中を直進する性質の光がどうして伝わっていくのか?

それはケーブル中にある光ファイバーは1本のなかの外側と内側の屈折率が違うように作られているので、中心を通った光が、曲がった部分で外に逃げようとしても、屈折率が違うのでまたもとにもどされてしまうのです。

世界最初の海底ケーブルは1850年に英仏間のドーバー海峡に敷設された銅線でしたが、今は光ケーブルを使います。ドーバーを渡ったケーブルは1回線でしたが、光ケーブルは12万回線の容量を持ちます。

日米間初の海底ケーブルは1964年5月15日に開通しました。当時の池田勇人首相とアメリカのジョンソン大統領が初通話を行なったことは有名。かのケーブルも今はご用済みになり、1990年に光ケーブルに置き換わっています。古いケーブルは、海底地震計など学術関係で大いに再利用されています。

さて、海底ケーブルと言うからには、海底を這わせます。漁船のイカリや水圧・起伏で傷がついても大丈夫なように、ケーブルは何層にも保護されていますが、深海用で直径22mm。浅海用でも直径44mmと意外と華奢なんですね。