[210a]O-157大腸菌

大腸菌は大きく分けるとO型とH型がある。O-157はO型で157番目に発見された大腸菌という意味。正式名は「腸管出血性大腸菌O-157」という。

大腸菌は元々人の大腸の中に住んでいてその数は50億にも達する。しかし、恐れることは無くそのほとんどは善良な大腸菌だ。食べたものを消化する役目を持っている大腸菌もいれば、身体に必要なビタミン類を作る大腸菌もいる。しかし中には悪いことをする大腸菌もいる。これを病原性大腸菌というが、O-157はその中でも特に悪質な菌なのだ。

大腸菌は自然界にもたくさんいて、人だけでなく色々な動物に寄生している。人の大腸菌も排泄物と一緒に体外に出て、色々な経路をへて食べ物と一緒にまた戻ってくる。大腸菌にとっては人の身体は生態系の一部ということができる。

大腸菌は食べ物を通じて人の身体に入ると、胃を通りすぎ、大腸に住みついてここで数を増やす。O-157はこの時にベロ毒素という強い毒を出す。ベロ毒素は腸壁を壊すので激しい腹痛と血便をおこさせるのだ。またこのベロ毒素は大腸の働きによって血液に取り込まれ腎臓に運ばれる。腎臓に到達したベロ毒素は腎臓を痛めつけひどいときは死亡に至る。

O-157が出すベロ毒素は怖いけれど、O-157自体は熱にはとても弱い。したがって食べ物を75度以上に加熱すればまず心配は無い。しかし、低温には滅法強いので冷蔵庫を過信してはいけない。O-157が付着してしまったハンバーグは冷蔵庫に入れておいてもどんどん繁殖する。しかしそのハンバーグをよく焼いて中まで火を通し75度以上になっていれば大丈夫だ。

食中毒は、それを引き起こす菌の性質をよく知って予防すれば怖るに足らぬものなのではあるが。