[1289]計画道路上にある割安な土地

高度成長時代は田中角栄の日本列島改造論に代表されるようなバブリーな道路計画がたくさんありました。そのときに計画された新しい道路や既存道路の拡張計画はごまんとあります。

しかしその後の景気の冷え込みによって、その計画は遅々として進まず、道路の拡張敷地に引っかかっているのだけれど、30年もそのまま、という物件がたくさんあるのです。こういった物件は売ったほうがいいのでしょうか?あるいは買い得なのでしょうか?

計画道路上の物件は、その土地に建てられる建物に制限が課せられるため、評価の査定ではマイナスのポイントになります。つまり売るときは通常価格より安くなります。買う場合も「安い物件」となります。

道路新設などの都市計画には「計画決定段階」と「事業決定段階」の2段階がありますが、地方自治体の財政難もあって、「計画」は決まったけれどなかなか「事業化決定」しないという事例がたくさんあります。

もちろん「事業化決定段階」では基本的に建物を建てることはできませんが、「計画決定段階」では、条件付きながら建築物の建築が可能なので、将来を見据えてどうにも計画が実行されそうにないとか、実行されても簡単に移動できるようにしておけば、そういった「計画道路上の物件」も買い、ということができます。

計画道路予定地になっていても建てられる建物は、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造であり、2階建てまでで地階がない事です。マンションのような鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造は撤去が難しいため建てることができません。

計画道路の実行見通しは、市町村役場の都市計画課で確認できます。しかし計画はすでに決定しているわけですから、長年放置されていても道路が絶対にできないとはいえません。むしろ「いずれ道路になる」と考えた方が無難でしょう。

計画道路が「道路」になるときには自治体よりその持ち主に「保障」が出ます。つまり「高く買ってくれる」という思惑があるため、長年持ち続けることになるのですが、今後その計画道路が道路として実現するかどうかは甚だ疑問です。

道路ができるまで50年もかかってしまうとすれば、高齢者の場合は活用することなくこの世を去ってしまいます。将来を見据えて、今こそ活用すべきだと思えば、計画道路上ということで安くなっても「売って」資金化することも視野に入れるべきでしょう。