[1091]脅迫と強迫と恐喝

似ていますが、非なるもの、脅迫と強迫と恐喝。この違い、わかりますか?

【脅迫(きょうはく)】

脅迫は脅し(おどし)です。たとえば、刃物などを突きつけてあるいはちらつかせ「金を出せ」等と迫った。これは脅迫罪。

他人に恐怖を与える目的で、生命、自由、身体、財産、名誉などに害を与えることを相手に告知する行為をいいます。刑法の脅迫罪にあたります。もちろんこれは犯罪です。罰則は、脅迫罪の場合二年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。(刑法222条一項)

【強迫(きょうはく)】

これに対して、「強迫」は民法による争議に用います。自分に有利になるよう、相手に無理強いして、それに従うよう意思表示をさせることなどをいいます。この強迫については民法96条に規定されています。

「詐欺又ハ強迫二因る意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得。」

つまり、強迫による意思表示・契約は取り消し可能です。本意ではないのですから当たり前ですね。契約書が存在しても、それが無理に書かされたものは無効であるということです。

次に【恐喝(きょうかつ)】

恐喝は、暴力や相手の弱みに付け込んで脅迫するなどの行為により、金品を脅しとることをいいます。
最近流行っている「オレオレ詐欺」事件は恐喝に当たります。またいわれの無い「架空請求詐欺」事件も恐喝にあたります。

「人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」(刑法249条)

恐喝罪は脅迫罪を超えるものという位置付けなので、脅迫罪よりも罪が重くなっています。

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