[1081]こんにゃくゼリー

先日量販店を徘徊しておりましたら、こんにゃくゼリー売り場に大きな注意書きがありました。内容はスプーン小さくしてから食べてください、というようなもの。最近世間で騒がせているこんにゃくゼリー製品の誤嚥による窒息事故を受けて、販売店でも注意喚起の対策を講じたものといえます。

しかし、こんにゃくゼリーの誤嚥事故はスプーンで小さくして与えても起こっているのです。窒息の原因は大きい小さいではなく、口の中で溶けるかどうかにかかっています。元来ゼリーは体温で溶けるものでありそういった既成概念があります。しかしこんにゃくゼリーは歯ごたえを楽しむものであるため口の中では容易に溶けません。このあたりの体の誤認が事故に結びついているように思えます。

また、事故を起こした製品を見ると、カップから吸い込まないと食べられない形状になっているようです。ゼリーは粘着力がありますから、何か工夫がないとカップから出にくいものであり、そのため吸い込むように食べるとそのまま気管に入ってしまい、窒息事故になるケースもあります。要は、『今から食べるものはこんにゃくゼリーであり、下手をすると窒息の危険がある』と認識した上で食べること、が必要です。

さて、こんにゃくゼリーの老舗といえば、マンナンライフの「蒟蒻畑」。スーパーでもドラッグストアでもホームセンターでも見るブランド品です。ダイエットに良いし、おいしいし、しかし若干価格が高め。特売で安くなっていれば大いに買い込む私です。

こんにゃくゼリーは従来のたんぱく質のゼリーとは違い、こんにゃく芋から作られるグルコマンナンが原料。グルコマンナンは保水力のある食物繊維。ローカロリーで便通をよくするため、ダイエットに欠かせません。また血糖値、血中コレステロールの低下にも効果があると言われています。「蒟蒻畑」はこのグルコマンナンを惜しみなく使った製品です。

似たような製品も多くあり、安さに魅せられて買うこともありますが、大体がっかりします。おいしくないし、蓋を開けると汁が飛び散って手を汚す、そして何より強力に吸わないとカップから出てこない。今回の事故を誘引したのはこの手の粗悪品ではないでしょうか?

蓋を開けたときに水分が飛び散るのはゼリー質を保つための成分が少ないからです。つまりゼリーとしては粗悪品です。こういった粗悪品を食べてのち「蒟蒻畑」を食べてみますと改めてその製品の完成度の高さに驚くのです。

まずそのカップの形状。非対称なハート型をしたカップは、製品を手にとってそのままカップを押すと自然と中身が出てくる優れたものです。吸い込み事故を防ぐ配慮です。そして歯ごたえ。柔らかすぎずかといって硬すぎず、程よい大きさと歯ごたえは蒟蒻畑ならではのものです。そしてなによりおいしい。

今回の一連の事故で、老舗のマンナンライフ「蒟蒻畑」に影響が出ないことを切に望みます。この歯ごたえ、このおいしさに感動するからこそ、消費者は買うのですから。

次回はゼリーと寒天、そしてナタ・デ・ココについて語ります。

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