[1079]民間業者の著作権登録

先日ネットショップを探索していたら、ダイエット商品の紹介項目で「知的所有権(著作権)登録」なるものを発見しました。つまりこのダイエット商品は「知的所有権(著作権)で守られている、というものです。

現在、日本では知的財産権の登録は特許庁で行なっており、その登録は自分でやるか弁理士に代行してもらうしか方法はありません。その他の個人や民間業者が代行して登録を行なうことは法律で禁じられています。

しかしこの「知的所有権(著作権)登録」というのはおかしいですね。そもそも特許庁に知的財産権として登録できるのは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権だけです。これを総称して「産業財産権(工業所有権)」といいます。

この中に著作権が含まれないことに気づいたと思いますが、著作権は芸術性・個別性があるため工業所有権には含まれないのです。工業製品として量産がきかないからです。また、著作権は著作した段階で発生し、特に登録をしなくても権利として守られます。ただしこれはベルヌ条約に加盟している国だけの話で、他の国では登録しないと著作権で守られない国もあります。

たとえば、サークルCという丸の中にCが入ったマークをよく見ると思いますが、これはこのマークをつけないと著作権が守られない国から発祥したものです。日本はマークが無くても著作権は守られるのですが、どういうわけかこのマークをつけたがるようです。

さて、日本弁理士協会では、このような民間業者による勧誘に注意を呼びかけています。
http://www.jpaa.or.jp/care/care2.html

民間業者の「知的所有権(著作権)登録」の勧誘に気をつけましょう
一審判決(平成13年12月20日東京地方裁判所)=当会勝訴
判決は、「知的所有権(著作権)登録」について、「詐欺の故意を有してい
た可能性は極めて高く…」と指摘

登録すること自体は個人の自由ですが、登録そのものに法的に効力が無いことを認識しなければなりません。とすれば、登録することが意味のあることなのでしょうか?単なる自己満足にしかなりません。

ましてやこの「著作権登録」をしたうえで「登録」を楯に企業への売り込みや製造販売の中止を請求したりすることは芳しくありません。企業とすれば何ら法的な根拠もないこういった請求は困惑するだけです。弁理士会ではこういった商法の被害等についての無料相談窓口も開設していますので困っている方は利用されてみてはいかがでしょう。

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