[829]イスラエルという国

パレスチナ解放機構(PLO)の最高責任者であるアラファト議長が亡くなりました。これにより対立するイスラエルとパレスチナの関係が変化することが考えられます。良い方に向かうか悪い方に向かうか??

今から2000年以上前のこと、今のイスラエルのある地域ではパレスチナといってユダヤ人が王国を作り豊かに暮らしていました。しかし古代ローマ帝国の侵攻でユダヤ王国は崩壊、パレスチナ地域はローマに占領されてしまいます。結果そこに住んでいたユダヤ人は世界中に散り散りになってしまいます。

それから約1900年。世界中に散ったユダヤ人は長い間各国で虐待され続け、自国を復活させようというシオニズムという運動が起こるようになります。その地に選ばれたのがエルサレムを中心とするユダヤの元王国があった場所パレスチナ地域だったのです。ユダヤ人はかつて神に約束された自分の地としてこぞってパレスチナを目指しました。

しかし、ユダヤ人が去った後のパレスチナ地域にはアラブ人が住み着いていました。そこにユダヤ人が「ここパレスチナは自国である」としイスラエルを建国しました。当然パレスチナのアラブ人との衝突することになります。これが中東戦争です。

力と頭脳で勝るイスラエルはアラブ人を追放し、ガザ地区とヨルダン川西岸地域に押し込めてしまいました。パレスチナを追われたアラブ人をパレスチナ人と呼びます。このパレスチナ人という呼び名は難民という意味があり未だ不安定な状態が続いています。

この不安定な状態を開放しようとする機構がアラファト議長率いるPLOです。PLOとはイスラエル支配下にあるパレスチナを解放することを目的とした諸機構の統合機関をいいます。初期のPLOはテロ行為や武力に訴えることが多かったのですが、晩年のアラファト議長は平和的解決を推進していました。そのアラファト議長がパレスチナを独立させる前に死亡してしまったことは中東問題の解決に大きな支障となることが予想されるのです。

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