[822]蜃気楼

2013年5月25日

蜃気楼とは、空気中の密度の違いにより光が屈折し、景色が実際とは違う形に見える現象をいいます。

蜃気楼で有名なのは富山湾。ここで見える蜃気楼は春版と冬版があり、それぞれ見え方が違います。

春の蜃気楼は上位蜃気楼ともいわれ、富山湾に流れ込んだ立山連峰の冷たい水が海面を冷やし、その上に春の暖かい空気が流れ込んだときに、空気の密度が急に変わって出現するものです。上位蜃気楼といわれるように、実際の風景の上側に伸びたり反転した虚像が出現します。

これに対し冬の蜃気楼は下位蜃気楼ともいわれ、実際の風景の下側に反転した虚像が見えます。これは、冬の冷たい空気が暖かい海水に接するところ密度の違いが生じ、光の屈折の仕方も逆になるためといわれています。

出現の度合いは圧倒的に冬の蜃気楼が多く、春の蜃気楼は例年10~15回程度しか見られず、場所も限られるなど貴重なものとなっています。冬の蜃気楼は富山湾に限らず視界状態がよければどこの海岸でも見られるものです。できれば春型の蜃気楼を観測したいものです。時期的には3月~5月が見どころのようです。

ところで「蜃気楼」の「蜃」とは大きなハマグリ貝のこと。これが吐き出す「気」で海の上に楼台が出来ると中国で信じられていたところが語源となっています。