[818]メタンガス

2013年5月25日

802号でドブ臭いメタンガス、と書いたところ、メタンガスは無味無臭のガスであるとご指摘を頂きました。確かにメタンガスは無味無臭のガスです。ドブ臭いのはメタンガスが生成されるときに同時に発生する硫化水素の匂いですね。硫化水素は温泉地などでおなじみの卵が腐ったようなにおい、いわゆる腐臭です。

メタンガスは別名バイオガスとも言われ、新しいガス資源として注目されています。バイオガスの名の通り、生物が発生するガスです。身近なところでは我々人間が日々発生するオナラもメタンガス。酪農が盛んな国では、牛や羊が発生するメタンガスが半端な量ではなく環境問題になっているとも聞きます。

メタンガスは有機物が発酵する段階で生じるガスでよく燃えます。燃焼熱量は500~6,500Kcal/m3で都市ガスと同じ位あります。これを3~4人の家族の1日の調理に使うには、牛1頭(豚4頭)の糞尿で賄えます。プラントを組んで上手く利用すれば、将来有望なエネルギー源になることは間違いありません。

メタンガス発生の立役者は嫌気性バクテリア。酸素が無い状態で発生するので、堆肥やヘドロ、糞尿だめなどで自然に発生します。田んぼも発生源になっているようです。牛や羊の腸内のみならず、私たちヒトの腸内でも発生しています。つまりオナラ。オナラはメタンガスなのでよく燃えます。

メタンガスは二酸化炭素と同じく地球温暖化に作用します。垂れ流しにしてはまずいですね。しかし、地中に固化された炭素資源を燃焼させて大気中に大量に発散させるのではなく、もともと地表にある植物の食物連鎖の過程で発生するバイオガスはプラスマイナスゼロでありこれをカーボンニュートラルといいます。石油資源に頼らず、自給自足できるメタンガスの利用方法はなかなか有望なようですね。