[811]ヘリウム

2013年5月25日

ヘリウムは水素に次いで軽い元素です。水素は反応しやすい活性物質ですがヘリウムは不活性ガスです。空気より軽いので、当初水素が使われていた飛行船等は事故防止のため燃えやすい水素ではなく、安定したヘリウムに置き換えられました。ヘリウムは軽いため我々が吸う空気には含まれていませんが自然界には存在するごく平凡な物質です。

そのヘリウムも昔は存在を確認できず、1868年8月1日にインドで観測された皆既日食において発見されました。フランスの天文学者ジャンセンが観測したコロナのスペクトルをイギリスの天文学者ロッキヤーが分析したところ、スペクトルの中に強い黄色線があることを発見。彼はこれを未知の元素によるものと確信しギリシャ語の太陽「ヘリオス」にちなんでヘリウムと命名したのです。

太陽はそのヘリウムでできた星です。しかし不活性ガスのヘリウムは燃えないはず。しかし太陽は燃えている。燃えているからまぶしいし、太陽熱も感じる。確かにその通りなのですが、太陽が燃えるのは地球上で物が燃えるのとは原理が違います。

宇宙空間には酸素はありません。太陽は酸素で燃えているのではなく、他の方法で燃えているのです。それは核融合。原子力発電所では原子核の核分裂によるエネルギーを利用して発電していますが、分裂とは反対に核を融合させるともっと大きなエネルギーが発生します。核融合に酸素は必要ありません。太陽はその質量から生じる巨大な重力でヘリウムを押しつぶして核融合させ、まぶしく光っているのです。

さて、そのヘリウムを液化させたのはオランダのカマリング・オンネス。1908年のことでした。当時19世紀後半では気体の液化がさかんに研究されていた時代です。塩素や二酸化炭素などは加圧することで比較的容易に液化したのです。ところが、酸素や窒素、水素などはいくら高圧を加えてもなかなか液化せず、当時はこれらは「永久気体」と呼ばれていました。

しかし、研究が進むにつれ、気体は冷却と加圧を繰り返すことにより、永久気体と考えられていた酸素や窒素、水素も次々と液化に成功。最後まで残されたヘリウムも液化されました。この液化ヘリウムの登場で-269度という最強の冷却材を人類は手に入れたのです。

液化ヘリウムを冷却材として、極低温下の金属物性の研究を続けた結果、ある温度において水銀の電気抵抗が突然ゼロとなる現象が発見されたのです。これが「超伝導」。1911年のことです。

次回は超伝導