[805]活性酸素と不死

我々酸化型生物にとって酸素が強力なエネルギー源であることには間違いありません。酸素は他の物質を酸化させ他の物質に変えてしまいます。つまりもとの物質を壊してしまいます。酸素は時にその反応力の高さから悪さをしてしまうこともあるのです。

よく言われる活性酸素はヒトの体内の細胞を破壊します。酸素を必要としながら酸素に壊されているのが我々の体です。体は壊されては健気に新陳代謝で復活し、しかし細胞には寿命がありますから、やがて死ぬ、という決まりになっています。

寿命を延ばすにはこのサイクルを理解すればいいでしょう。つまり、活性酸素にかかわり合わないこと。酸素呼吸をあまりしないようにすればいい。急激な運動や深呼吸などもってのほかです。穏やかにひたすら穏やかに暮らすのです。

また、細胞はあまり活動させず、新陳代謝をのんびりさせます。人体の健康な細胞は分裂回数が決まっています。有限なのです。従って一つの細胞をできるだけ長く生かすのが長生きのコツです。

それでも人間はいつか死にます。それは健全な細胞の分裂が有限であるということに起因しています。これはどうしようもない事実です。しかし、それならば細胞の分裂を無限にすることができれば「不死」を手に入れられることが容易に理解できるでしょう。

不死の細胞は実はおなじみです。がん細胞がそれ。がん細胞は無限に増殖を続けることができる細胞です。しかし現代の人間の叡智ではそれをコントロールすることができません。従ってがん細胞に負けてしまい、命を落とす羽目になるのです。

しかしこのがん細胞をコントロールできるようになれば・・・そのとき人類は不死を手に入れることができることでしょう。

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