[775]鳥インフルエンザ

霞ヶ浦の鯉ヘルペスウイルス騒ぎに続き、山口県の養鶏場でニワトリが大量に鳥インフルエンザにかかり死亡しました。被害が広がらないように、行政は同じ養鶏場で飼われていたニワトリ全部を処分して、これ以上広がらないように対策したようです。行政も業者も大変だったことでしょう。

鳥インフルエンザとは、鳥がかかるインフルエンザで、鳥インフルエンザウイルスによって起きる病気です。鳥インフルエンザウイルスによる発病は日本では79年ぶりのことで、業者も油断していたのでしょう。しかし前号でも述べましたが、生物がウイルスに対抗してゆくには日夜抵抗力をつける切磋琢磨が必要です。

ところが現状の養鶏場はどうでしょう。ケージにはぎっしりニワトリを詰め込み、高カロリーの飼料を与え、夜は電気をつけて寝かせず、病気になることを恐れ、薬漬けの現実。生産性を重視するあまり、抵抗力は増すどころか、退化してしまっているのです。そんなところに強力なウイルスが蔓延したらひとたまりもありません。

これは鯉やニワトリだけでなく、牛、豚、その他さまざまな養殖業者に今後必ず降りかかってくる試練となるでしょう。「食が危ない」とはまさに現実となっているのです。

さて、この鳥インフルエンザですが、問題となるのはヒトに感染する、ということです。すでにベトナムでは、鳥インフルエンザにかかったヒトが死亡しています。ヒトからヒトに感染するかどうかはわかっていませんが、要注意です。また、鳥インフルエンザは豚に感染することもわかっています。

もともとインフルエンザに限らず、ウイルスは突然変異でどんな動物にも取り付くことができるとされています。優れた感染力を持つウイルスに対抗するために、生物は無性から有性となり、いろいろな多様性を求めて進化してきたのです。

太古から続いている、ウイルスと生物との戦い。甘く見ると大変なことになるという教訓が、鯉騒ぎであり、鳥ウイルス騒ぎであるといえるのです。

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