[774]インフルエンザ

インフルエンザは「星の影響」というイタリア語が語源で、その昔イタリアでこの病気が大流行したときにインフルエンツァと呼ばれたこと始まってインフルエンザと呼ばれるようになりました。

普通のカゼもインフルエンザも同じようにウイルスが原因です。カゼウイルスは多種多様の症状を表しますが、それはあくまでも「カゼ」であってインフルエンザではありません。インフルエンザは「インフルエンザウイルス」によるカゼのことを指してインフルエンザというのです。

インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3種類があり、このうちこれまで世界的に大流行し、多くの人命を奪ってきたのがA型ウイルスです。よくインフルエンザウイルスは変異を起こすと言われますが、最も変異を起こすのがA型ウイルスで、B型の変異は少なく、C型はほとんど変異を起こさないと言われます。

インフルエンザウイルスはとっても小さく、電子顕微鏡でないと見ることはできません。非常に小さく軽いので乾燥した空気中が大好きです。空気中を漂い、ヒトの鼻やノドから体内に入り、粘膜の細胞に取り付きます。ヒトがセキやくしゃみをするのは、ノドにとりついたウイルスを外に出そうという働きなのです。鼻水が出るのは、鼻の粘膜を守りながら、ウイルスを外に出してしまおうとする働きなのです。

インフルエンザに限らずウイルスというのは自分で仲間を増やすことができません。他の動物の細胞に取り付いて、その細胞に自分の分身を作らせるのです。そのため細胞が破壊されたり、分身を作るときに毒素が出たりして、細胞が死んでしまいます。それがゆえに母体である動物が病気になってしまったり、死んでしまったりするのです。

インフルエンザにかかりますとヒトの体は自動的に体温を39度以上に高くします。ウイルスは熱に弱く、39度で活動が停止します。インフルエンザにかかると高い熱が出るのは身体がウイルスと戦っているからなのです。解熱剤で熱を下げてしまってはいけない理由はここにあります。

インフルエンザウイルスに効く薬というのはウイルスをやっつけてしまう薬ではなく、こういった熱に対する体力を高めたり、セキを鎮めたり、鼻水を止めたり、ノドの痛みをやわらげる効果があるだけです。

ヒトには「抗体」という侵入物に対する抵抗力を作る能力があります。一度体内に入ったウイルスには抗体が作用し二度目にはかかりません。インフルエンザも一回かかったウイルスには抵抗力があるので再度かからないのですが、インフルエンザウイルスが手を変え品を変え侵入してくるので、そのつどワクチンを打たなければならない事となります。

ではワクチンは効くのか、ということですが、残念ながら気休め程度にしか効きません。打っておいたほうがいいという程度。それよりも、日ごろより規則正しい生活をして、身体の健康を維持し、抵抗力をつけることのほうが大事です。

そしてインフルエンザウイルスの嫌いな環境を作ること。ウイルスは寒くて乾燥した所が好きなので、部屋を暖かくして加湿することです。またウイルスが細胞に取り付く表面は脂肪でできているので、外から帰ったら、石けんで手を洗うことです。

マスクをしたらどうか?残念ながらウイルスは小さいのでマスクをしても簡単に通過してしまいます。マスクの効果はノドを湿らせ暖かくすることができることだけです。

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