[761]「えと」とは兄弟のこと

2013年5月26日

そろそろ来年の年賀状が気になる季節となりました。来年の干支は「さる」。絵柄はどうしようか?

さて、パソコンで「えと」と打ち込むと「干支」と変換されます。でもこれってほんとは間違い。

「干支」はあくまでもその読みどおり「かんし」です。干は十干(じっかん)のことで、支は十二支(じゅうにし)のこと。この「干」と「支」の組み合わせを「干支(かんし)」という。(えと)ではないのです。今年の干支(かんし)は癸未(みずのと ひつじ)で、来年2004年の干支は甲申(きのえ さる)です。

「えと」の本当の意味は「兄と弟」。つまり「兄弟」で「えと」と読むのが正しい。ちょっと干支をならべてみましょう。

昭和49年甲寅(きのえ とら)
昭和50年乙卯(きのと う)
昭和51年丙辰(ひのえ たつ)
昭和52年丁巳(ひのと み)
昭和53年戊午(つちのえ うま)
昭和54年己未(つちのと ひつじ)
昭和55年庚申(かのえ さる)
昭和56年辛酉(かのと とり)
昭和57年壬戌(みずのえ いぬ)
昭和58年癸亥(みずのと い)

このように「きのえ」「きのと」「ひのえ」「ひのと」と順番に並びます。先に来る「え」は兄の意味。あとの「と」は弟です。「きのえ」は「木の兄」、「きのと」は「木の弟」と言う意味。この兄「え」と弟「と」を「えと」という。この考えは陰陽五行から来ています。

ちなみに「木の兄=甲(きのえ)」とはケヤキのようなしっかりとした硬い巨木(剛)をいう。「木の弟=乙(きのと)」とは同じ植物でも、野に生える草(柔)のようなものを意味します。

巨木は家や筏となり役に立ちますが、斧や鋸で倒されてしまう弱さがあります。また水が多いと根が腐りやすいという性質もあります。その点、草原の草は斧や鋸では切ることはできず、水に流されても流れ着いたところにまた根付くという柔軟な強さがあります。同じ木でも甲と乙(陽と陰)では全く違うというわけです。