[757]遺伝子検査

遺伝子研究の一環として現実に行なわれているものに遺伝子検査があります。これは遺伝子の中の暗号を読み取り、将来固有の病気が発現するかどうかを調べるもので、予防医学の一環ともいえるものです。

しかし、この遺伝子検査でわかてしまった事実は動かしようもない事実となります。

例えば検査の結果、不治の病が40歳で発現する可能性があると宣告されたら一体どうするのか?お腹の子に重大な遺伝病が発見されたらどうするのか?軽く考えることはできない問題です。現に遺伝子検査の結果、乳がんが発病する可能性があると診断された女性が発病前に乳房摘出の手術を行なったという例がアメリカにあります。しかも自発的に。よくよく考えると非常にショッキングなことです。

がんに代表される悪性腫瘍は、体細胞レベルでがん遺伝子の増幅やがん抑制遺伝子の不活性化などが組み合わさって発症すると理解されていますが、このような変異遺伝子を遺伝子検査によって検出することにより、良性か悪性かの鑑別や推定が可能だということです。つまり遺伝子検査でがんになるかどうかがわかってしまうのです。

遺伝子を見て触ってそれを操作する方法を手に入れた人類は、まさに新人類への一歩を踏み出したといってよいでしょう。倫理面、技術面ともにその道は険しいでしょうが、転ばずに無事に進んでいってもらいたいものです。