[746]めまい

くらくらっとくるあの「めまい」というのはヒト独自のものらしい。めまいは平衡感覚の異状によって引き起こされますが、ヒトはその平衡感覚がとても鈍いのです。

この平衡感覚というものは動物の感覚の中でも最も古くから発達しているものです。なぜなら弱肉強食の世界では、平衡感覚の悪い動物は機敏に動けませんから、すぐ食べられてしまい、子孫を残すことはできないからです。ところがヒトは平衡感覚が鈍いにもかかわらず強靭に生き残ってきました。

ヒトが何故生き残ってきたかというと、それはヒトは知能を司る大脳が発達し、知能により弱肉強食の世界から生き残ってきたからです。反面この平衡感覚が鈍ってきてしまい、平衡感覚に障害がおこりやすくなり、簡単に「めまい」をおこすようになってしまいました。

そんなわけで、ヒトの平衡感覚は非常に敏感でデリケートです。身体や精神的な疲れや異常で簡単に平衡感覚の異常としてあらわれることが多い。したがって「めまい」は身体の異常を真っ先に伝えてくれる「黄色信号」ということができます

めまいの原因を作るのは平衡感覚をつかさどる耳の異常です。耳は外側から外耳、中耳、内耳という三つの部分から構成されています。一番内側にある内耳は音を感じるかたつむりの形をした蝸牛(かぎゅう)と平衡(バランス)感覚を司る三半規管(さんはんきかん)があります。ここに水がたまる病気をメニエール病といいますが、めまいがしたからって言ってすぐこの病気だとはいえません。

めまいをおこす原因はたくさん存在します。立ちくらみや車酔いもめまいの一種です。これらの大部分は一時的なものなので、治療するに及びません。しかし何度も同じ症状がでるようならメニエール病を疑います。めまいがすると日常の生活も苦しいものです。心配ならば病院に行って検査を受けることですね。

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