[714]エンバーミング

エンバーミングとは、遺体を修復し、防腐処理をすることをいいます。日本でも1980年以降多く行なわれるようになりましたが、アメリカでは一般的な処理です。特に海外に遺体を送るときには原則としてエンバーミングの義務があります。

アメリカは国土が広く、会葬者が集まるのに時間がかかり、また土葬が多く、葬儀の形態にビューイングといわれる遺体を見せる風習があります。そのため遺体の保存、生前の美しい状態を取り戻す作業としてエンバーミングが行なわれています。

また衛生面での効果も問題もあります。闘病生活を続けてきた遺体は必ずしも衛生的ではありません。遺体の半数以上が何らかの感染症を持っているともいわれています。残された家族や遺体を取り扱う人たちへの感染を防ぐためにも、エンバーミングは好ましい処理といえます。

エンバーミングはエンバーマーという専門技術者が行います。肩の静脈から血液を抜き取り動脈から防腐液を入れるという方法で行われます。しかし、遺体の状態によっては、防腐剤の注入が上手くいかず、そのためかえって顔などが別人のようになってしまし、訴訟に発展する例もあります。

エンバーミングは、原則として書面による
1)生前の本人の申込み
2)遺族の申込み

が必要です。ただし、実施前に2親等以内の親族の反対の申し出があると実施できません。

まだまだ知る人が少ないエンバーミングが日本で市民権を得るにはもう少し時間がかかりそうです。

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