[692]エアスプレー

殺虫剤といえばノズルを押すと中の薬液がガスに押し出されて噴霧されるエアゾール型の缶スプレーが主流です。

中のガスには以前はフロンガスが使われていましたが、現在ではLPG(プロパンガス)が主流。プロパンガスですから火気は厳禁。また逆さにすると薬液が出ずガスのみ出てしまうものもあり取り扱いには結構コツが入ります。また噴出す薬液は温度が低く、一箇所にずっと吹き付けると凍ってしまうことも有り、人の肌や植物に使用する場合は冷害に気をつけなければなりません。

そんな従来のエアゾールにかわって最近ではエアスプレーなるものが販売されています。というと洗剤などに使われているピストル方のノズルをもったハンディスプレーと思われるでしょうがそうではなく、缶に入ったものなのです。

住化タケダ園芸(株)が2002年12月に発売した家庭園芸用の殺虫殺菌剤「ガーデンドクター"ベニカXシリーズ"」は、この新しいタイプのエアスプレー方式を採用してヒット商品になっています。

このエアスプレータイプは、缶の中に薬液(有効成分)入りの内袋があり、その袋を缶の周りに充填された圧縮空気(不燃性の窒素ガス)が袋に一定の圧力で押して噴霧する構造になっています。薬液に一定の圧力がかかるため均一に噴射され、逆さにしても大丈夫。

噴射ガスによる冷害もなく、液残りもしないので最後まで使い切ることができます。また通常の缶スプレーは使い終わったあとガス抜きを行なう必要がありますがそれも不要。使用後は缶ゴミとしてそのまま処分できというわけです。従来のエアゾールタイプが持っていた課題を完全解決した製品です。

他社でも是非取り入れてほしい缶スプレーですが、この技術は住化タケダ園芸(株)で特許申請中とのこと。公害のない社会の為、公開特許としてほしいものです。

【関連記事】
[663]フロンガス