[676]トナカイ

馴鹿と書いてトナカイと読みます。人間に馴れた鹿という意味でしょうか。トナカイはサンタクロースの乗り物として世界中の人に馴染まれていますが、現在でもラップランドに住むサーメ人にとっては切っても切れないほど生活に密着した動物です。

サーメ人とはフィンランドや北欧諸国の北極圏に住む人たちのことです。国境に関係なく独自の生活をしています。サーメ人は2000年の歴史があるとされていますが、ユーラシア大陸において人類がトナカイを飼いならすようになったのは5000年前ともいわれています。

厳寒に地に住むサーメ人にとって、トナカイは大事な食料であり、また移動する際の有用な動力となり、その毛皮は寒さを防ぐ上で必需品です。現在でも、サーメ人はトナカイの放牧で生計を立てています。

トナカイには立派な角があります。鹿と違って、オスメス両方とも同様の角があります。トナカイは苔を好みますが、この角をうまく使って、雪の下にある苔を探し出し食べるのです。また、ひづめは体の割に大きく、雪深い冬や春先のぬかるみにも埋もれないように幅が広くなっています。

サーメ人にとってトナカイは遺産相続に指定できるほどの重要な財産。したがってメスは大事な子供を産むためにゆったり放牧されています。重いソリを引いたり食肉になるのはオスのほうだとか。いやはやトナカイの世界もオスは大変なようです。