[661]スコラ

たしか三浦綾子さんでしたか、私には死ぬという大事な仕事がまだ残っている、と言い、そして死んでいきました。この世から消え去ると言う事は生まれてくる事に匹敵するくらい大事な仕事かも知れません。死んではじめてその人の仕事が完結する。

生きている間は、人間みんな暇をつぶします。暇つぶしをギリシャ語ではスコラといいます。可愛い女の子の写真が載っているのもスコラ(グラビア雑誌)。見て楽しんで多いに暇をつぶしましょう。

学校という意味のスクールも語源はスコラと同じルーツをたどります。要するに学校も暇つぶしなのですね。どう言う風に暇をつぶすか?それによって人間の「中身」が決まってしまう。暇つぶしにも気合が必要だ。やれやれ大変です。

生まれてから死ぬまでは、みんな何かしら暇をつぶしているのです。何をしようとかまいません。けれど何かするように誰かから言われているような気はします。言っているのは神か仏かそれともDNAか?

今世界には52億人の人がいて、各自思い思いに暇をつぶしていますが、100年後は今いる人間はみんな死んでしまってこの世にはいません。けれど、われらの子孫がヤッパリ同じように暇をつぶしている事でしょう。こうして人類は永遠に暇をつぶし続けるのです。

ところで人間歳を取るとその暇さえつぶすのも疲れてきます。そういうときはしょうがない、人間死ぬことになっています。これが死ねないとなったら憂鬱になってしまって楽しいどころではないでしょう。人間は死ねるから今が楽しい。