[653]大きな古時計

人気歌手の平井堅(ひらいけん)がカバーしてヒット中の「大きな古時計」。原曲は19世紀にアメリカのヘンリー.クレイ.ワークによって作られたものを作詞家の保富康午が訳詞し、日本では童謡として広く歌われてきたものです。

NHKの「みんなのうた」で8月の歌となったようですが、初回は1962年の6月に同じく「みんなのうた」で立川澄人が歌っていました。私くらいの年代になると立川澄人が歌っていたというイメージのほうが強いでしょう。番組では立川澄人のメリハリのある歌に谷内六郎のアニメーションがピッタリでした。

立川澄人といえばNHKではお馴染みバリトン歌手です。いわゆるクラシック歌手ですが幅広いレパートリーと明るいトークで多くのNHKの番組を支えていました。もちろん紅白歌合戦にも何回も登場しましたね。一度怪我をして立川清登とを変えていますが、立川澄人のほうが通りはいいようです。立川さんは昭和60年(1985)の大晦日に亡くなられました。享年56。1985年は日航ジャンボ機は御巣鷹山に落ちた年です。

さて「大きな古時計」をカバーする平井堅にとっても「大きな古時計」は少年時代に母が台所で歌っていた思い出の曲とのこと。歌手になることを心に決めた大事な曲だそうです。きっとお母さんも上手に歌ったことでしょう。ジャケット写真に使われる古時計の絵も当人が小学4年の時に描いたものとか。

ところで、大きな古時計の原曲「Grandfather’s Clock」を和訳したのは保富康午ですが、保富氏はこの英詩を和訳する際、1箇所だけ原詩を変えてしまったのです。というのは原曲にでてくるおじいさんの歳は90歳。保富氏はこれを語呂の関係で100歳に変えてしまった。日本では100歳のほうが縁起がいいからでしょうか?真相は謎のままです。